おさるのじょじへい

PERFECT DAYSのおさるのじょじへいのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.3
『わたしは、ダニエル・ブレイク』を鑑賞した際に、主人公のダニエルさんが実在しているような感覚になりましたが、今回は平山さんに対して同じ感情を抱きました。
平山さんはもともと裕福な方で、学業も優秀だったのだろうと想像しましたが、きっとあの方は詮索されることが好きではないでしょうから、素性を探るのはやめておこう。

ここ数か月事情があって、DVDで映画を観ることさえ出来なかった自分には、ストーリーが沁みて沁みて…。平山さんの優しさが垣間見える度に、涙がぽろぽろとこぼれてしまったのは、心が弱っているからか否か。

「野球と宗教は人それぞれ」という台詞がありましたが、幸せだって然り。
華やかな暮らしなどしなくても、平山さんはとても幸せそうでした。そのお姿を見ているだけで、心がじんとします。
残念ながら、ささやかな出来事で喜ぶことを鼻で笑う人が自分の周りにいます。周囲の毒に侵されることなく、ささやかな幸せを感じられる人間でいたい。平山さんのお陰でそう思えました。

奇しくも、劇中で登場したスカイツリー近くの劇場での鑑賞。
「あ、平山さんの家の近くにいる!」と思うだけで、なんだか嬉しくて。
物語のお膝元ということで、4月でも上映していてくれたのでしょう。自分の都合上、劇場鑑賞は無理だろうと思っていたのに…。ロングランをありがとう(涙)。
ささやかな幸せを感じて生きていきます。

『朝日のあたる家』で始まった作品は、“朝日のあたる車”いや、“朝日に照らされる平山”で終わりました。
お洒落すぎます、感服です!