たにたに

ローマの休日 4K レストア版のたにたにのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

【ギターで殴る】2023年79本目

新聞記者のジョーがやってることが、現代の人々にどう映るかという戸惑いはあるのだが、ラストで見事に哀愁を伴って現実を突きつけてくる点で、本作が名作と言われる所以が理解できるのである。

各国を周り、公務に疲れたアン王女(オードリー)。ローマに訪れ一人一人とご挨拶するシーンでは、ドレスに隠れてヒールを脱ぎ捨て自分の脚を掻きはじめるのだ。
まだまだ遊び盛りの女の子なのだが、不自由なことへのストレスに耐えれず、気が立ち、鎮静剤を打たれる始末。その結果、城を飛び出し夜の街へと繰り出したフラフラのアン王女が、ジョーに介抱されるわけだ。

ジョーは彼女が王女だと気づくと、親友のカメラマンに金になる話があると持ちかける。
ライター型のカメラなど、気づかれぬように盗撮をし、その素材をジョーは記事にしようとする。
途中で2人の距離が縮まる様子を見ていると、ジョーが結果そんなことをするはずがないとは勘付くのだが、アン王女がそれを知り傷ついてしまうのではないかと最悪の結果を想像していた分、ラストのアンが、王女としての自分を受け入れ、見事な大人の対応をしたことに感銘を受けた。

一瞬の思い出。
最後のキスをしたあの夜。
アン王女は、ジョーに対して振り返らずに立ち去ることを約束する。
しかし、次の日の記者会見で見事な公務をされたアン王女が身の上の役割を決心した顔でその場を立ち去ると、ジョーは少し歩いて後ろを振り向くのである。淡い期待なのだろうか。ここの哀愁がジワジワくる。
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