YACCO

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。のYACCOのレビュー・感想・評価

3.5
ふと時間ができたので思い立って鑑賞。
この年末になぜこういった映画が公開されるのかなと思ったりもしたけれど、戦争映画が夏に見るものというのもある種の思い込みか。
現代からタイムスリップする主人公が特攻隊員と出会い、恋に落ちる。
主な舞台となる「鶴屋食堂」は「富谷食堂」をモデルにしたものだと思う。この描写はとても心温まるもので、松坂慶子さんの存在が「鶴屋食堂」を特攻隊員たちが集う場所にしたのだろうなと感じることができた。
そして、主人公の百合を演じるのは福原遥。自らの命を犠牲にして子供を助けてなくなってしまった父に複雑な感情を抱いており、母にもついつい反抗的な態度ばかりとってしまう多感な時期の高校生を演じている。タイムスリップした先で出会う千代ちゃん(演じるのは出口夏希)と比較するとお姉さん感が出てしまっていたけれど、佐久間彰演じる水上恒司とはバランスが良く、お似合いだった。水上恒司は今作もはまっていたと思う。
しかし、百合がタイムスリップしていたのは1か月にも満たない期間だった設定のせいか、二人が出会い惹かれあう描写はいささか性急な気もしてしまった。けれど、あの時代を生き、限られた時間を生きるふたり故、だったのかもしれない。
特攻隊員の描写は今作については爽やかに描かれていて、ある意味共感しやすかったのではないかと思うけれど、もっと多くの葛藤や厳しい現実もあったようにも思う。
しかし、そういった部分を除けば、メッセージは伝わりやすく、見る側の心を掴むものがあったと思う。とはいえ、現実主義の方や、よりリアルを求める方にはおススメしない。本作は、戦争映画というよりは、ある種のファンタジー映画なのかもしれない。
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