すんごい良い映画だった。異形の者たちが認められない者同士で徒党を組んで…っていう筋自体はありきたりだけど、主人公の異形形態が「知らず知らずに人を傷つけてしまう」とか「容姿が…」とか「属してるコミュニティが…」みたいなシリアスなものじゃなくて、単純に「デカくなってしまった」だけっていう。それでそのまま無邪気な巨大怪獣特撮ごっこに持っていくという楽しさしかない脚本。こういうドラマと作り手のエゴが完璧な関係性を築けている脚本が観てて一番平和で豊かな気持ちになる
3D全盛期ではなく黎明期の貴重な3D映画でもある。『アバター』前だから視差とか物凄いキツくて挑戦的らしい。日本では『STAND BY ME ドラえもん』の3Dが視差配慮皆無で楽しかったけど、この映画はそういう無邪気さプラス3Dのノウハウもかなり誠実に考えられていて感動する。被写界深度もキャメロン映画かよってぐらいずっと深いし、被写体の配置とか遠近を感じ易い物の配置、アングルが徹底されてる。制作段階から立体視を意識しているなあとしみじみ感じる。いつかちゃんと3Dで観てみたい
そんで感動したのが、巨大生物VS巨大生物みたいなシーンが結構多いけど、普通のサイズ対巨大生物だけでなく巨大生物対更に巨大な生物、みたいなくだりも同時に展開してくるから縮尺基準が頭の中でバグってくる感じが楽しすぎる（それを狙ったというか結果そういう設定になった感が強いけど）。そんなカオス空間の中でしっかり巨大を巨大に魅せる特撮演出は抜かりがないという。ありそうでなかなかない巨大生物シーンだと思った
後は2009年の3DCGにしては人間の顔面がかなり細かく描き込まれていて、ドリームワークスのこれの次年公開のヒックとドラゴンよりも精巧なCGをやってる気がする。あとは数年後にキングスマンシリーズとか手掛けることになるヘンリー・ジャックマンのキレキレ音楽も最高。これからも定期的に観返したいラブ映画
