わたがし

ウォーキング with ダイナソーのわたがしのレビュー・感想・評価

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 3Dブルーレイで観た。完全に3D目当てで観たんだけど製作者陣の恐竜へのロマンが詰まりすぎてて普通に結構感動した。実写背景+CG恐竜の映像の凄みもちゃんとそれが手法だけに終わってない。最後に恐竜が消えて背景実写映像だけになるところに胸がぎゅっとなる。
 実写背景はちゃんとステレオ撮影しているらしく、背景なんか3Dで撮ったって望遠なんだから意味ないのでは? なんでフル3DCGじゃないんだと思いながら観たら、ちゃんと木々の枝葉の凹凸や岩の裂け目のディティールなんかまで綺麗に立体撮影され、その空間に立体のズレなく厳密に三次元的に存在し、息づく恐竜たちにめちゃくちゃ感動した。
 3Dの立体設計も丁寧で、飛び出すところは景気良く飛び出し、空間を魅せるところはどこまでも奥に空間が広がり、それでいて異常視差ショットもないので目が疲れなくて3D映画のお手本のよう。最後の最後で『ピラニア3D』級に馬鹿な3D演出があるのも良い。本当に良いものを観た。
 全編ずっと恐竜たちや鳥がべちゃくちゃ喋りまくるんだけど全然リップシンクしてなくて、あくまで実際は吠えたり鳴いたりしてるだけという動物バラエティ番組みたいなリアリティなんだけど、3Dブルーレイのみの特典で「白亜紀モード」というのがあり、そのモードで本編を再生するとアテレコ台詞が完全になくなって白亜紀と現代を繋ぐ親子ドラマみたいなのも全部削がれて一気に無骨なガチ「恐竜ドラマ」になる。このモードで通しで全部は観てないけどアテレコでBGMの音量が下がることもないし、確かに台詞がなくても表情でわかる物語になってる(このドキュメンタリーとフィクションのバランスもすごい)し、たぶんこっちが本気のディレクターズカットなんだなと思いつつ、ひとりでも多くの将来の恐竜博士を育てたいという一心でこんなわかり易い劇場公開版になったんだなと思うとそれもまた少し泣ける。クリエイターが必死な映画は胸が温まる。
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