わたがし

トランスフォーマー/ダークサイド・ムーンのわたがしのレビュー・感想・評価

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 公開当時ぶりに3Dで通しで観返した。高校時代の夏休みの記憶がちょっと蘇った。まだかな、まだかなと楽しみにして3Dで映画館に観に行った記憶。あの頃は夏休みに封切られるこういうアクション超大作を観に行くのが本当に本当に楽しみだった。どんな観たことない映像を観せてくれるんだろうって純粋にワクワクしてた。青春をありがとう。
 マイケル・ベイの映画は本当にエンタメを越えた芸術性がある。シーンの中に潜む一瞬一瞬の「盛り上がりのポテンシャル」みたいなものを一欠片も残さずに掬い取って全部画面に出す。だからシーンとして盛り上がれば盛り上がるほど間延びして盛り下がるという奇妙な時間がたくさんあって、時にすごくストレスフルだけどその疲労感が「主人公と一緒に冒険している疲労感」と重なる。
 集中して観るなり映画館で暗闇に拘束されて観ないことにはこの疲労感は味わえず、そういう意味で手段が狂ってるけどやっぱり純粋な映画館映画なんだなと思わされる。
 あらためて観ると本当に当時これでこのシリーズ終わらせる気だったんだなという気迫を感じる。とは言えアイデアを絞り出した感もなく、この手数の多さでの「本当はもっと長尺にしても良かったんだけどな」感は感動。倒壊するビルの中で延々いろいろアクションやる面白さ。
 3Dはやっぱりロストエイジのほうが慣れてるし効果的なショットも多く感じた。手持ちは手持ちで普段通り使って開き直ってそこだけ2D、みたいな感覚は当時は「は?」って思ってたけど、今観ると納得する。3D映画は別に全ショットが効果的な立体感がある必要はないし、むしろこういう風に2Dショットが多少あるほうが深めの視差の立体ショットを何回も新鮮に感じることができる。
 馬鹿な演出は多いけど馬鹿な3D演出(フルCGの小物が飛び出す的な)は案外なく、過剰に3Dを感じさせるようなショットも現象の発生理由が作り手の恣意性を感じないものばかり。迫力はあくまで現場のリアルから生まれるというベイの美学をそういうところにも感じた。つまりベイはほぼノーランである。
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