わたがし

モンキーボーンのわたがしのレビュー・感想・評価

モンキーボーン(2001年製作の映画)
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 ストップモーションアニメと実写を融合させているという凄味だけで観れる。なけなしのメイキング映像で実写とストップモーションをそれぞれモーションコントロールで撮影して合成してるのがわかるんだけど、ストップモーションのモーションコントロール撮影ってそれ用のカメラとかあるんだろうか。
 悪夢の世界のごっつい特殊メイクの牛みたいなキャラとか、精巧すぎて作り物に見えないのが凄い。でもCGでもないんだろうし、そういう部分部分でめちゃくちゃすごいものを観たなという映画だった。
 脚本のアイデアとストーリーが面白いのに脚色でかなりどうでもいいコメディになってしまっている気がする。キャラクター作家の自己分裂と決着がただの悪趣味な喧嘩の勝敗で終わる。
 その悪趣味というか、ただならぬ気合の入った神経質な悪ノリみたいなところにヘンリー・セリックのアニメーション狂人感を感じれて楽しいけど、実写パートの「やりたいこと表現し切れてない感」みたいなのも感じる。
『ロジャー・ラビット』は人間とカートゥーンが全く別の理屈で生まれて成立して息をしている、という冷静な棲み分けがあるからこそ「同じフレームで本当に共存している!」という感動があるんだなと思った。この映画、アニメーションも俳優も完全に同じ生き物として描いているから「そんなバカな」と思ってしまう。その眼差しの純粋さには感動するけど、延々とアニメっぽい動きをし続ける後半のブレンダン・フレイザーを観ているのは本当に疲れた。
 そう考えるとフィル・ロード&クリス・ミラー、ブラッド・バード、ゼメキスみたいな実写とアニメを何本も渡り歩く監督というのは共通して「実写とアニメは根本から違うもの」という冷徹さがあるんだろうなと思った。
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