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女優は泣かないのプレコップのレビュー・感想・評価

女優は泣かない(2023年製作の映画)
4.1
欲しい画はカメラの外で起こる

スキャンダルで活動を自粛していた女優、安藤梨花の復帰作は地元帰りドキュメンタリーだった。腕のないディレクター・瀬野との手応えなき撮影が続く中、喧嘩別れした家族や地元の人々とのふれあいがドラマチックに盛り上がる。

特に前半はカメラの前で茶番が繰り広げられる中、その前後やあるいは梨花の記憶の中で心動かされる瞬間があることが提示される。しかし、ドキュメンタリーの山場を自分で仕込まないと盛り上がらないと考えた瀬野はそれらに気づくことなく寒い茶番をひたすらに撮り続ける。ここから、ディレクターやクリエイターに1番大切なのは「嗅覚」や「直感」であると取れる。また、結果的にプロジェクトは方向性を大きく変えてよりリアルを追求するドキュメンタリーを制作することにしていく過程で起こるインモラルな手法もまたドキュメンタリーの一つの側面である有害性を示唆する。

一方で梨花もプロフェッショナルではあるものの実力は足りていない。しかし、そこに至るまでの保身がそうさせており、すべてを吹っ切ったときの表現力はバツグンだったりする。この似た状況に追い込まれている2人がぶつかりながら静かに溶け合うことが推進力になっている。

その中に田舎人のいいところも少し面倒なところもミックスした、おせっかいでやや天然なサルタクがどちらにも寄り添っているのがちょうどよく、方言にもフィットしていて今作の"なめらかさ"を担っていた。
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    文章の練習。点数は感覚的なものですので結構書き換えます。 【ベストムービー更新しました】 2024年新作TOP10に設定しています。 →2024年映画ランキングは『シビル・ウォー アメリカ最後の日…

    文章の練習。点数は感覚的なものですので結構書き換えます。 【ベストムービー更新しました】 2024年新作TOP10に設定しています。 →2024年映画ランキングは『シビル・ウォー アメリカ最後の日』レビュー(https://filmarks.com/movies/113906/reviews/188541822)へ ※映画史に残る革命的な作品で、なおかつクオリティもパーフェクトだった場合、 #ノースコアクラシック としてスコアなしで記録しています。 何本かに1本のペースで #死ぬまでに観たい1001の映画 も進めてます 2023.9〜