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片目のジャックのたにたにのレビュー・感想・評価

片目のジャック(1960年製作の映画)
3.8
【裏の顔】2023年31本目

ゴッドファーザーで有名なマーロン・ブランド。彼の初監督作品であり、主演作。
そして土臭い西部劇とは一変、裏切られた相棒に復讐をするという物語をベースに、海辺で波音ともに悲哀を醸し出す若者を見事に描き、愛する女との出会いと別れを非常に見やすい王道ストーリーへと仕上げている。

まず、"片目のジャック"というタイトルが良い。トランプのハートとスペードのジャックの絵柄は、片方の顔しか見えず、裏の顔は見えない。人間の裏の顔を揶揄し、今作の決め台詞にもなっている。

西部劇は騙し合いがつきものであり、それらが複雑に絡み合って好転も悪転もする。

裏切られたダッドとの久々の再会に、リオはすぐに彼を殺すわけではなかった。それはもちろん彼の娘ルイザに恋をしたことが関係するが、ダッドは"馬がいなくて助けに行けなかった"とあからさまな嘘をつくのである。

リオもならず者として作品中盤まであらゆる嘘をついていたが、彼はルイザに対して嘘をついていたと告白するシーンがあり、その覚悟と正直さが、広い海の波音と共に、"言うべきか""言わないでおくか"引いては返す波のように彼の揺さぶる心情を描いている。

見栄を張る嘘と、都合の良い嘘。
様々な嘘が絡まって物語は結末を迎える。
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