たにたに

Saltburnのたにたにのネタバレレビュー・内容・結末

Saltburn(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

✨2024年4本目✨

「プロミシングヤングウーマン」の監督エメラルド・フェネルの新作。
ひっそりとAmazonプライムで独占配信。

オックスフォードに進学した主人公オリバー(バリー・コーガン)は、いわゆるいけてないグループの一人のようだ。
同級生の貴族階級でイケメンなフェリックスに惹かれている中、困っている彼を助けたことがきっかけで友人関係へと発展。不遇な家庭環境を理由に同情を得たオリバーはフェリックスの豪邸へと居候することになるが、徐々に不穏な空気が流れていき…。というお話。


🟢画が素敵
作品自体の色味や建物の様式、調度品の数々など、とにかく画に映るものがすべて素敵でかなり好みでした。ロケ地は1680年頃に建てられたイングランドのドレイトンハウス。
門構えから荘厳で、設えられたマホガニーの家具たちはキラキラ輝いている。
これは映画館で見たかったですね。

裏庭にはキューブリックの「シャイニング」を彷彿とさせる迷路の庭園。真ん中に聳え立つ銅像。これらは意味深に作品内で存在感を放ちます。

🟢オリバーの目的は何か
作品中盤までは、ポンジュノ「パラサイト」のように貧困層が富裕層に家に棲みつくことで浮き彫りになる階級社会への提言をするもの、もしくは「ゲットアウト」のように部外者であるオリバーが金持ち達のエサになるスリラー展開かと思っていました。
ところが、おやおやオリバーが"ある"目的のために仕組んだ計画だったわけです。

ラストの石が物語っているように、権力をモノにすることが彼の目的だと思うのですが、何も人を殺してまでやることか、と思うわけです。フェリックス家族がそこまで嫌な人間として描かれてもいないし。

いけてないグループを演じるにしては身体ゴツすぎだろというツッコミもあります。
知力も体力も精力も満ち満ちて、彼は自分にない財力と容姿を持ち合わせたフェリックスを土に葬って種付をする。
フェリックスそのものを愛しているというより、自分を愛してくれるフェリックスしか愛せない、コントロール下にいない彼は興味がないのかもしれません。

しかし、彼の計画はどこまでがそうなのか。
携帯のメールが見つかって実家に連れてかれて自分の嘘がバレるところまで計画なのか。
そもそもフェリックスを知っていてオックスフォードに入学したのか。
好きすぎて殺してしまうというシリアルキラー的なオチだと非常に違和感のあるキャラ設定でもある。

バリーコーガンの奇妙さとその視線、そして一人でいるときにしか出さない溢れ出る性欲の描写は見事だった。
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