140字プロレス鶴見辰吾ジラ

ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越えるの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

3.8
【人生に暴動を】
 
トッド・フィリップス強化月間。「ハングオーバー」シリーズからトッド・フィリップスに迫る。

前作「ハングオーバー」の2作目。舞台はラスベガスからタイへと国境を移し、歯医者のステュの結婚とまたもやド派手に酔っ払って大騒動を起こす愉快な仲間たちのドタバタコメディ。

基本は前作の流れを踏襲しながら記憶のない中で酒やドラッグが内なる悪魔を解放する快感と、逃走とミステリーが導く確実な救済を経て、本来は陰キャが覚醒すると何より恐ろしいことを訴えかける。

今回もブラッドリー・クーパーは冒頭は主導権はあるものの彼が最終的に置物になり、本来ならば日陰者な真面目くんや引きこもり病的ニートの覚醒が彼らを救済に導く。「ドラッグは神だ!」なんて言い訳じみた名言かと思っていたが、記憶にないが外部メモリーに記録された暴動や宗教的な抑圧さえもぶっ壊すパワフルさは前作を超えてきている。

生きることにおいて、抑圧され侮辱された自分の「ワンナイトスタンド」は、「負け犬たちのワンスアゲイン」として勇気づけるパワーがある。前作と比べ踏襲したがゆえのクライマックスの勢いの甘さや、花婿の父親との和解のロジックは弱かったが、サプライズゲストの破壊力は中々。記録でしか語られない激動の夜はいつか自分にも訪れて欲しいとある種のライオットロマンを感じる。