たにたに

戦場のピアニスト 4Kデジタルリマスター版のたにたにのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

【ショパン】2023年98本目

ポーランドのワルシャワ。
ユダヤ人のシュピルマンはピアニストとして放送局で曲を弾き生計を立てていた。

ドイツ軍がポーランドを占領。
ドイツ人のユダヤ差別は壮絶であった。
1939年、ユダヤ人はダビデの星が描かれた腕章を付けなければならないと義務化。
居住地までも制限され、大小のゲットーに移動させた上、高い壁で囲んだ。
さらに、ドイツ軍は夜中に襲撃し無駄に撃ち殺したり、轢き殺したり、ベランダから投げ落として、もう目を塞ぎたくなるような卑劣な行為が平気で行われていた。
食料や水もまともにあるわけなく、道端には死体がたくさん転がっている。

そのうち多くのユダヤ人は列車に乗せられゲットーから強制収容所に送られた。そこで待つのは死だ。シュピルマンの家族は全員連れていかれ、シュピルマンは知り合いのユダヤ警察官の手によって逃げることができ、ゲットー内で体力の使わない仕事に就く。そこでもランダムに選ばれたユダヤ人を跪かせて目の前で次々と撃ち殺していくドイツ軍。いつ死んでもおかしくない。

1943年蜂起を起こすも、かき集めの武器だけでは到底対抗できなかった。シュピルマンは、優しいポーランド人のもとに匿われ、場所を転々としながらなんとか生きていた。部屋も出られない。そのうちワルシャワ蜂起で建物はドイツ軍の手により次々と取り壊され居場所を無くしたシュピルマンは廃墟の屋根裏に潜むも、そこはドイツ軍の拠点となっており、大尉に気づかれてしまう。しかし、シュピルマンの見事なピアノの音色に彼は感銘を受け、生かしておくのだった。

ソ連軍がやってきた。ドイツが敗れたのだ。
シュピルマンは保護され、奇跡の物語はピアニストとして再起する彼の姿で終わる。



これが実話であるから恐ろしい。
苦しく、悲しく、胸が痛む。
殺人シーンが幾度となく映し出され、絶叫する場面もある。

この映画ではアウシュビッツについては映し出されない。シュピルマンの主観を我々は共にして、もう会えない家族と、毎日死を考えながら生きることの辛さを感じとることができる。

家族一緒に居られればいい。そんなシュピルマンの思いは叶わなかったのです。
そして、ポーランド人の中にはリスクを恐れずユダヤ人を匿う協力者もいた。
ユダヤ人警察が、ドイツ軍の犬となってユダヤ人の遺体を焼き払ったりもした。

勇気を出して皆に見てほしい一本。
たにたに

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