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みなに幸あれのLudovicoMedのネタバレレビュー・内容・結末

みなに幸あれ(2023年製作の映画)
1.2

このレビューはネタバレを含みます

《ちょっと何言ってるか分からなかったっす》

巷でチマチマ話題を聞く正体不明のホラー映画。タイトルや予告じゃどんなタイプの作品か全く想像がつかないこともあり非常に楽しみであった。
本作は2021年に新人ホラー監督支援目的で開催された"日本ホラー映画大賞"の受賞監督によるもので、特典には長編映画デビューが約束される。しかも清水崇監督プロデュースという宣伝効果もあり今回の楽しみな磁場が発生していた。

が、その出来は最悪なものだった。「怖い」というノリは芸がないので不快描写の連べ打ちに振り切りました。みたいな方向性がただ不愉快なだけの映画になってしまい物語をドンドンとっちらかしてしまう。

子供の時体験したどうしても忘れられない記憶がふと蘇る瞬間ってたまーにありますよね。本作では実家で過ごした不気味な扉から気配を感じ取り、ワッと大人になった主人公が起き上がりタイトルがデーンと現れる。めちゃ引き込まれた。やがて田舎のその実家へ帰省する所で物語がスタートする。

いわゆる老人怖い系ホラーとして雰囲気が整っていき、特に例の2階の部屋は今どうしてるか聞くと「人が住んでるのよ」、、、「ウソ、今は物置ね」の冗談最高だし、自家製の味噌壺を妙に意識させるカメラの抜き具合とゾクゾクできる。また親しい家族なのにどこかよそよそしい会話など違和感を覚える。

ホラーは基本恐怖のタイプが明かされるまでの正体不明さが重要となるジャンルであり、その後の展開はどうしても掴み所を楽しむことになりやすい特性がある。その分掴み所を如何に釘付けさせるかは腕の見せ所となるが、本作種明かしがいくらなんでも早すぎです。日常を揺るがす違和感の引き出しが少ないからか、あっという間に別人のように豹変した祖父母描写も老人に対するリスペクトがまるで感じれず単に不愉快なだけだった。

もう一つの回収として例の扉をついに、の見せ場では振り返ると幽霊の如く影に覆われたおばあちゃんが立っている。ここ切り返し効果でヒヤッとするのだがこちらへ向かい走ってくる圧がカメラも一緒に引いてしまってるのでどうも迫力に欠ける。

確かにシャマランの『ヴィジット』を日本でやるなら?の意欲は十分だしそこへ『ボディスナッチャー』古典の自分以外が敵に思える恐怖もわかりますよ。ただそれが運んでいく本作の掴み所、言うならネタバレに当たる部分が分かんなすぎる。その分衝撃もなく後づけぽいのだが幸福には限りがあってどうやら一家に一体生贄を祀らなければ秒で死に値する病いに祟られてしまう、アンタまだ知らなかったの?とか言われるんだが悩んだのは俺と主演の子だけ? 神棚とかじゃなくて?
案の定ヒロインは途方に暮れまくるんだが、まさにその途方に暮れ描写が後半の良い味にはなっていた。
兎にも角にもその概念をもっと掘り下げていく物語なんじゃないの?そんなこんなでたどり着いた山小屋に住むおばあちゃんの吐露する場面が圧がヤバくて優勝でした。

それに比べ幼馴染との再会はありきたりな光景留まりでどうでもよかったし、クライマックスになるにつれギャグ度が増えるも全然笑えないしで。
掴み所を見せないと訳がわからないを履き違えたヒドイホラーだった。
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