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コンテイジョンのneroのレビュー・感想・評価

コンテイジョン(2011年製作の映画)
4.0
2月くらいから話題になっているのは知っていたが、なんだか見るのが怖くてようやく鑑賞。コロナ蟄居の今見るとまさにホラーだった。2011年作品ということは2003年のSARSや2009年のインフルエンザ流行を受けて作られたということになるが、さすがCDC協力、あまりに今の新コロナに符合しすぎてずしりと怖い。フィクションと言うよりシミュレーションとしての存在感が濃密だった。

本作でのウィルスは、新型コロナに比べると潜伏期間も短く、致死率も感染力も一段上で、それだけに感染拡大の速度・恐怖感は説得力を持つ。主体をCDCに置いたことで、ワクチン・特効薬の意味もその限界もしっかり描いて、同時に、蔓延る偽情報や陰謀論そして暴動といった避けられない混乱も描き出す。日本でマスクが入手困難になったころ、米国ではまず銃・弾薬が店頭から消えたというニュースが流れたことを思い出した。

B級パニック映画的設定ながら、俳優陣が無駄に豪華なのが余計にシリアス感を煽る。淡々とした事象の積み重ねで恐怖を描くあたりはさすがにソダーバーグ監督と言いたいところだが、力を抜けるところがなさすぎて少々息苦しいくらい。緊張感が終盤まで続く。
多くの犠牲者と長い戦いの末にようやく日差しが見える。そして最後に回収されるDAY2から始まる意味。いつだって世界はDAY0にある。

今更かもしれないが、信用おけない政府や首長がTVで垂れ流す空疎なコトバより、しょうもないバラエティの再放送より、本作を地上波全局順送りで毎日放送したほうが、家に居るしかないんだということを周知できるんじゃないのかい。
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