YYamada

ア・フュー・グッドメンのYYamadaのレビュー・感想・評価

ア・フュー・グッドメン(1992年製作の映画)
3.8
【法廷映画のススメ】
『ア・フュー・グッドメン』(1992年)
〈フィクション〉
(現代 / キューバ、ワシントンD.C.)

◆法廷の争点
軍法会議にて、海軍兵士2名の無実を問う。
・被害者兵士に対する拷問は、果たして上司の指示によるものか?

〈見処〉
①巨大権力に立ち向かう軍事裁判。
 オールスターキャストによる名作
・『ア・フュー・グッドメン』(=少数の善人)は、1992年に製作されたアメリカ映画。
・本作の舞台はキューバからの租借地、グァンタナモ米軍基地。海兵隊員サンティアゴ一等兵が殺害された事件の被疑者は同じ部隊のドーソン上等兵とダウニー一等兵。被告2人は軍隊内の落ちこぼれに対する通称「コードR」(規律を乱す者への暴力的制裁)の遂行を命じられていた。
・彼らの弁護人に任命されたダニエル・キャフィ中尉(トム・クルーズ)は、ギャロウェイ少佐(デミ・ムーア)、ワインバーグ中尉(ケヴィン・ポラック)の3人で、勝ち目の軍法会議の裁判に挑む。果たして彼らは、グァンタナモ基地の司令官ジェセップ大佐(ジャック・ニコルソン)の関与を立証出来るのか…。
・本作は、米海軍基地で起った不審な殺人事件の真相を探る若き弁護士が、軍内の組織悪を暴く過程での人間的成長を描くドラマ。監督は『スタンド・バイ・ミー』のロブ・ライナー、脚本は、後に『ソーシャルネットワーク』でアカデミー脚色賞を受賞する、アーロン・ソーキンのデビュー作。
・また、出演は、トム・クルーズ、ジャック・ニコルソン、デミ・ムーア、ケヴィン・ベーコン、キーファー・サザーランドなど豪華なスターとハリウッドトップの製作者による、軍法会議サスペンス。
・アメリカ国内では、現在も有名な本作にて、ジャック・ニコルソン演じるジェセップ大佐の台詞「You can't handle the truth!(おまえに真実は分かるはずはない)」は、アメリカ映画名セリフの第29位にランクインされているほど認知されている。

②アメリカ本土に近い「緩衝地」
・本作の舞台となる、グァンタナモ米軍基地は、現在もキューバ東南部のグァンタナモ湾に位置する現役のアメリカ海軍の基地。
・長くアメリカの敵対国であるキューバの敷地に位置するのは、1903年にキューバと締結したグァンタナモ基地の永久租借によるもの。
・フィデル・カストロによるキューバ革命以降、両国は敵対関係にあり、基地周辺には地雷原が設置される、アメリカ本土から最も近い「灰色地帯」。
・キューバ国内で唯一、マクドナルドが存在する本基地に対して、民主党のジョー・バイデン大統領は任期中の同施設の閉鎖予定を公言している。

③結び…本作の見処は?
◎: 終盤20分のニコルソンvsトム・クルーズによる証人尋問の迫力は、法廷映画の最高峰に位置する名シーン。映画ファンは必ず見ておかねばならない。
○: 国防に対する敬意と必要悪は存在してはいけないという強い作品メッセージは、後の『シカゴ7裁判』に繋がる、、名脚本家アーロン・ソーキンの健全な正義感によるものだろう。
▲: トム・クルーズとデミ・ムーア唯一の共演作品(のはず)であるが、ラブシーンがないのは、肩透かし感あり。
▲: 中盤まで、早い口調によるラストネームとファミリーネームが混在したセリフが多く、少々混乱する。
YYamada

YYamada