このレビューはネタバレを含みます
【溺れる感情】2023年83本目
ある事件で高所恐怖症となってしまった元警官の男。久々の友人からの連絡。
彼[依頼人]の妻の浮気調査をする間に彼女の虜になる。
いまや「めまい」ショットと呼ばれる、ドリーズームを利用した撮影手法には驚く。
螺旋階段の映像表現が目に焼き付き、高所恐怖症でなくとも、ハッとするほどのリアリティだ。
この高所恐怖症が利用されて、再び事件の巻き添えとなってしまう主人公なのだが、彼を虜にするマデリンの麗しき姿に、我々も魅力されてしまう。
どこかミステリアスな彼女に気を取られてしまう我々は、より主人公スコティの主観に入り込んでいる感覚に陥るのだ。
酒に溺れるでなく、恋に溺れる。
歯止めが効かない人間の凶暴性。
ラストで再び鐘楼に戻ってくるのも狂気。
このスコティの悲哀な結末にただただ項垂れてしまう。
スコティに一方通行の想いを馳せるデザイナーの女性の存在もよかったです。嫉妬してふと嫌味を言ってしまい、スコティを傷つけてしまう辺りとか。このシーンがあるから、恋愛模様の面白さがより深く表現できてるのでしょう。