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ハロウィン IIのLudovicoMedのレビュー・感想・評価

ハロウィン II(2009年製作の映画)
4.4
驚異の地獄絵図!ロブゾンビが魅せるニューウェイブホラーバイオレンス。

メタルロックミュージシャンであり、残酷映画の名手ロブゾンビが見世物精神を炸裂させ『ハロウィン』を再構築した。結果チャールズマンソンオーラを漂わせたシンブギーマンを爆誕させ、『マーダーライドショーシリーズ』から一貫する殺人鬼とその家族のテーマを、異次元から考察してみせたのが本作ハロウィンⅡだ。

そして今回は映画開始と同時にクライマックス展開をぶっこむ。

いきなりエンジンフルスロットルでバイオレンス度が増した惨劇に高揚感を鷲掴みにされた。
ブギーマンといえば、得体の知れない人物像が魅力なヴィランでしたが、今回はそれをいきなり否定し"母親"という幻影に取り憑かれた殺人者として描かれる。
これでは、映画ハロウィンとして失格だろ!と賛否分かれる禁じ手ではあるが、自分は【ロブゾンビ流再構築映画】としてバイオレンスの極地を開いたと思っている。

80年代ホラーオマージュなビジュアルだった一作目に対して、Ⅱは何とも抽象度がどぎつい映像タッチです。まるで長い長い悪夢から覚めることなく諸行無常の奈落を彷徨っているようなダーク世界観の中、次々と幻覚チックな展開が繰り出されていく。
中でも、暗闇を照らす画面一杯に真っ白な光から浮かび上がる薄気味悪い人影が、より抽象的にブギーマンを捉えるのだ。 

次第に、マイケルや本作のヒロインはマイヤーズ家(家族)の呪縛に囚われた魂が一人歩きし狂っていく。しかもその真実は、ある"メディア"により暴露され世間からはカルト的に祭り上げられてしまうのだ。
この側面はまさにマンソンファミリーさながら大衆にポップ化してしまった悪魔について鋭く考察されている。

また、終始悪趣味でしかないロブゾンビバイオレンスもヤバいです。ナイフの刺殺時やガラスに顔面ブレイクする際に、グサグサと100回ぶつける執拗なしつこさが、画面に見切れた人体破壊を物語る。

そして来たる10月31日。街はコスプレだらけの乱痴気パーティーな夜。日本のインスタ映え仮装とはレベル違いなハロウィンカルチャーを目にするだろう。
ゾンビやドラキュラはもちろんのこと、な、な、何と私的オールタイムベストな『ロッキーホラーショー』メンバーの仮装をしているではありませんか!。
ロブゾンビのフェティッシュしかない見世物ながら、これだからエクスプロイテーションムービーはたまらない。いやホントにありがたいです。更に『フランクンフルター博士』と『狼男』の合体プレイ中にブギーマンが割り込んで殺戮という夢のカオスが拝めるのだ。

そんな窮地の中ヒロインが毎晩見る悪夢の悩みの種が明らかになる。ダースベイダー並の衝撃真実を目の当たりにした彼女は、絶望しトチ狂ってしまう。
ブギーマンに追われる最中、冒頭でヒロインをトラウマ級に陥れた悪夢を反復(ヒロインにとってはデジャヴ)させることで、自分は一生この"亡霊"に取り憑かれたままなのではないか、と諸行無常を悟りダークサイドに吸い込まれていく。

そして、恐ろしい鏡のホラー演出といったお約束パターンに、やたら挿入されるドラッグな悪夢映像などの手数演出が光り、終いには、ある名作ホラーをチラつかせるクリシェまで用意されています。

思えば、ロブゾンビのグロスプロイテーションにただただ付き合わされるような2作でしたが、目を背けたくなるバイオレンスに心からゾッとさせられました。
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