いの

幕末太陽傳のいののレビュー・感想・評価

幕末太陽傳(1957年製作の映画)
4.5
せわしなくて慌ただしくて小気味良い。みな早口だし、なに言ってんのか聞き取れないことも多々あったけどそんなことはnpです


奥行きの長い廊下を誰かが奥に向かって走り、誰かが奥から手前に走ってくる。そうかと思うと、誰かが左から走ってきて右の障子を開け、誰かが右から走ってきて左へ向かう。そうかと思うと誰かが階段を上り、誰かが階段を降りてくる。文久二年、品川宿の相模屋。二階建ての建物を斜め左上から俯瞰するショットも入る。この大勢の動きの闊達さがせわしないし、同時に気持ちよい。観ていると心拍数が上がる感じ。群像劇だけどひとりひとりのキャラも立っている。その中心にいるのがフランキー堺演じる居残り佐平次。なんやかんや揉め事を解決し懐にお駄賃を入れていく。笑顔が凄い魅力的、だけどホントは笑ってない。時折鋭い表情をする。中心にいるのに、中心にいない。彼自身はstrangerで、違う世界を見つめている。悪い咳は治まらなくても俺はまだ生き抜くぜ。悪い咳は、このあと高杉晋作が患うことになるけど、それはまた別のお話。すんごい面白かったけど、わたしはまだうわべしかわかってないような気がする。これはきっとこれから何度も観るように思う。きっとその都度新たな発見がある。


複数名での行ったり来たりだったのが、終盤ここぞという時にフランキー堺だけの行ったり来たりとなる。ここが肝要なところだって映像が教えてくれる。


みんなが、フランキー堺のことを、いのさんいのさんと呼ぶから、なんか観ていて えへへ ってしちゃったw すまないねー



個人的な意見(雑談)
不朽の名作を、有難がって蔵に入れておくのではなく、後世の若者たちが日常的に親しめるようにするためには、時代劇に字幕を入れることを本格的に検討するべきだと思う。邦画でも日本語字幕アリ/ナシの選択ができるように。一部ではそうなっているかもだけど、もっと普及してほしいです。そうでないと衰退する
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