馬井太郎

シャイニングの馬井太郎のレビュー・感想・評価

シャイニング(1980年製作の映画)
4.0
ライターと思えない野獣:ニコルソン、世間知らずな長身の妻:シェリー・デュヴァル、霊感少年:ダニー・ロイド、この3人が私には、どうしても家族として映らない。妻は、学校卒業間もないふうで、どうやって小説家と結婚したのか、ダニーは二人の間に生まれた本当の息子なのか、そう作られているので、ああそうですか、そうなんだ、と思わざるを得ない。
通路に押し寄せる血の洪水、双子の姉妹をはじめ、唐突なシーンが恐怖を盛り上げる。そんななかで、私は、録音・音響を絶賛する。
ダニーが、幼児用のカートを乗り回す。ボリュームが大きい。絨毯敷き有りと無しとで音が変わる。
何やら、バンバンと変な音が鳴り響く。カメラは、ニコルソンが壁に向かってボールを投げている姿を映し出す。その不快な断続音。
だだっ広いホールに谺(こだま)するタイプライター打音・改行の狂気の連続音。
徐々に狂っていく過程が無精ひげと動きの鈍い眼球とで、不気味に表現されている。

1980年の制作、米国内公開が5月。
この年は、第22回オリンピック・モスクワ大会が開かれた。しかし、アメリカは参加せず、それにならってのことか、日本も不参加だった。理由は、ここでは省略させてもらう。
この映画とは何の関係もないと思うが、当時の世界情勢は、こんな程度であった。
ちなみに、4年後のロサンゼルス大会に、ソ連は不参加だった。