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女囚さそり 第41雑居房のHagieenのレビュー・感想・評価

女囚さそり 第41雑居房(1972年製作の映画)
3.5
さそり第二弾。
雑居房とタイトルにあるが、今作は女囚6人と共に大逃亡。
女囚たちの顔つきが一癖も二癖もあり個性的。特にリーダー格の白石加代子の顔芸、というか怪演がひときわ個性を放つ。
そんな中でひたすら眼光鋭く、一言もしゃべらない梶芽衣子。
超キャラ起ちしています。
なぶられたり凌辱されたりする主人公ですが、一作目は恨みを蓄積しての観客の感情移入があったのですが、今作は何か超越した感じでナミ(梶芽衣子)の存在はホラーでさえある。
後半、ナミの初めてしゃべるセリフが
「私を売ったね・・・」

やっぱりエコエコアザラクの黒井ミサに通ずる怖さじゃあるまいかw

舞台転換や照明効果、カメラワークなどの野心的手法は一作目を踏襲した感じ。特に心象風景的な演出が増え、印象に残る絵画的カットも多い。
また当時のロケーションも、今ではあまり見られないような廃墟や炭鉱あとなどが新鮮で無国籍感すら漂わせる。

制作は72年なので安保直後。この時代、やっぱり権力は巨大な悪として描かれる。刑務所の所長が超極悪だし、平気で囚人を殺す無法地帯。
ショッカーにしか見えない。
フィクションだけど、色々凄すぎて今の時代じゃ作るの難しいと思われる。
今の時代から見ると粗もあるのだけれど、凄まじいエネルギーを感じる作品。
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