きまぐれ熊

フロム・ダスク・ティル・ドーンのきまぐれ熊のレビュー・感想・評価

3.3
ネタバレしないで薦めるの激ムズ映画じゃん!しいて言えば悪ノリに付き合える人は楽しめる。

でも書かないと伝わらないので軽微ネタバレありで書きます。
でも読んだら驚きは減るので注意。

刑務所から出て早々無法の限りを尽くす兄弟はモーテルでとある家族を人質に取り、メキシコへの高飛びを目指す。家族を引き連れながら向かうのは国境沿いのバー。メキシコ側の案内人が来るのは夜明け。

兄弟と人質家族の長い夜が始まる...っていうニュアンスのタイトル。アンモラルでバイオレンスな空気を纏う兄弟と牧歌的な人質家族の緊張感に満ちたクライムムービーですね...って思ってたら何じゃこりゃあ〜〜〜!

こんな事普通やるか...?って映画は大好きなのでこの映画も好きですね。
前半は緊張感のあるクライムロードムービーの様相で、ドラマ性のある軽快なバイオレンス描写。後半は怒涛のジャンル激変。


面白いのが前振りの無さ&空気感の切り替え方。

あれ?前半と後半別の監督が撮った?ってレベルでセリフ回しとか間の取り方が違う。
演技も辛うじて同じキャラではあるけど明らかに芝居が違うじゃんってくらい激変する。
後半でやってる事や、キャラクター性の変化の到達点を考えると、普通それ前半で布石打っとかないか?って所を全てカチ無視して騙し討ちに全力を注いでるのがこの映画の面白ポイント。
それが出来ないスタッフじゃないしワザとだと思う。脚本クエンティンタランティーノだし。
空気感の違いにはタランティーノの存在もデカい。無法者はいっぱい出るけど作中随一の気持ち悪いサイコ野郎なので前半の緊張感を牽引してくれる。所が後半に彼は全く出ないので画面にいい意味で緊張感がなく気楽に見れる。
最終的な顛末の雑さとかもよくここまで振り切ったな〜と感心する。一方、真面目に見てた人はただただ肩透かしで終わる可能性も高いです。賛否両論とかじゃなくて完全に人を選別するタイプのスタイルですね。

ラストカットのオチは、オチとして納得感のあるラストショットであると同時に「え?今更そこ真面目にやるの?」っていう驚きで笑ってしまった。
きまぐれ熊

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