アマゾンの大自然に畏敬の念を抱いて自然ともに生きる原住民。地球の熱帯林の50%を占める素晴らしく大切な森林。

その自然が崩れて落ちている。自然的ではなく、人工的に。その速度が速くなっている。

ブラジルの経済不安から違法なゴールドラッシュにつながる。金の選別には、より簡単かつ効率的にできる水銀が使われている。これも明らかに違法だ。

誰もその違法な状態を止められない。

その行く末はアマゾンの水俣病。被害者は原住民であり、その子どもたちである。

単に、アマゾンの森林面積が減少している、と理解しているだけではダメなんだ。

#TBSドキュメンタリー映画祭2025

まずは監督が生還したことの凄さを感じる映像の数々でした。金を違法に採掘し、水銀を川に垂れ流す違法業者は銃で武装しています。彼らは邪魔者だと思えば拉致も監禁も辞さないでしょう。そのリスクを冒しながら撮影した映像は、目を背けたくなる現実を突きつけるものになっていました。

アマゾンの水俣病は、熊本の水俣病と同じ過ちを繰り返しているように見えます。科学的な因果関係の証明に時間がかかり、結果的に排水の停止が遅れたこと。漁民たちは、メチル水銀が含まれていることを知っても食べなければ生きていけないこと。見せかけの対策（チッソの場合はサイクレーター、今回は排水対策）で誤魔化そうとして、解決までの道のりをさらに長いものにしたこと。ここで止めなければ、また過ちが拡大します。

安定資産として世界的に人気の金の一部は、血塗られた鉱物です。この現実を無視した先にあるのは、真の意味での地球規模の破滅でしょう。アマゾンの熱帯雨林が失われた先にある未来は、想像できないような破局です。ブラジルの奥地からの叫びは、日本が本当に水俣を教訓にできたのかを問い直しています。