茜

メルシィ!人生の茜のレビュー・感想・評価

メルシィ!人生(2000年製作の映画)
3.6
真面目だけど気が弱くて冴えない男ピニョンは、離婚した妻と息子からは邪険にされ、会社ではリストラの対象にされる。
そんな絶望から自殺を図ろうとするも、隣の部屋に越してきた中年男性ベロンの言葉に救われ、それをきっかけにピニョンとベロンには友情が芽生える。
ベロンはピニョンに対して「リストラを回避する方法がある」と話を持ち掛けるが、
その方法とはピニョンがゲイであるという写真を捏造して会社に送りつけるという突拍子もないものだった。

冴えない一人の男性が思わぬ出会いとアイデアをきっかけとして、明るい運命を切り開く心温まる映画。
最初は本当に気弱そうなピニョンが、段々と活き活きした表情になり、社長や元妻に対して物おじせず自分の考えを投げつける姿が観ていて爽快。
ピニョンの事を馬鹿にしたり嫌っていた同僚たちの目も様々な出来事をきっかけとして徐々に変わっていき、
自分自身が変わらなくともレッテル次第で周囲の目は変わり、状況も変わるというユーモア溢れるストーリーが面白い。

それと共に、人間なんて表面上の情報だけで相手を勝手に判断してしまう生き物というブラックコメディらしい皮肉も随所に交えられている。
ピニョンと同じ経理を務めるボブカットの女性が、ピニョンのゲイ捏造写真を見て、
「前からゲイだと思っていた。あの歩き方は絶対そう。」等と喋りまくるシーンなんて、まさにそういう人間の浅はかさを皮肉ってるんだろうなーと思って面白かった。

所々にクスリと笑えるギャグも織り交ぜられていて、時に感動したり笑ったり、テンポよく物語が進んでいくのも良かった。
あと「スパゲッティ・トマト・バジリコ」が頭から離れなくなる(笑)
茜