日本が世界に誇る唯一無二の鬼才井口昇の最新作！
前作「異端の純愛」を副題に従えているということはシリーズ作品と捉えて良いのか？とにかく本作でもマイノリティと呼ばれる方々の純粋な愛を描いていてキュンキュンが止まらない怪作でしたね！ぺろぺろ

徴兵制が可決されて以来男たちはこれまで以上に飢えている様子、拒食症のたまこは翌日から徴兵される恋人に性交渉を強要されそうになり逃げだしてしまう、逃げ込んだ先は最近出会って優しくしてくれる同じく拒食症のお姉さんようこの元、この耐え難い世界から逃げてしまいたいたまこに、ようこは一緒に死ぬことを受け入れお互いの手を接着剤でくっつけてしまったぞ！しかしいざ死ぬとなった直前、ようこは「じつは私……あなたを食べてみたくて仕方ないのよぉ！」と襲ってきたんやがぁ！って話

うん、前作「異端の純愛」でも世の普通からは外れてしまった異端者たちの様々な愛の形を映し出し、我々に愛の美しさを存分に魅せつけた井口監督やが、本作も好きな人を食べてしまいたい、といういっぷう変わった愛の形をド真ん中に、同性愛や排泄愛などの要素までも巻き込み、怒涛のラブストーリーを展開させ、日本が誇るインディペンデント映画の神井口昇の表現力をまざまざと見せつけましたね！圧巻

またラブストーリーは苦手やけど人喰い映画は好きよ！って方々も間違いなく満足できる愉快な人喰いシーンの数々、ようこがドMの奴隷の額をむしゃむしゃと食べるシーンの愉快さ、眼球をちゅるんと口に含むシーンの神々しさ、引き摺りだした腸をお互いに食べ合うシーンのエンタメ性の高さ、カニバリズム映画として表現から一切逃げない井口昇の表現者の矜恃ね！やんややんや
あと個人的には、拒食症やとそうなんの？何かを口にすると直ぐに腹をくだすんやが、絶妙な屁の感じも井口昇監督の排泄プロフェッショナルとしてのこだわりが凄くて興奮の坩堝やったしね！やったー！
あ〜あと、両手を塞がれたようこが、たまこに足を使ってポテチをあ〜んしてあげるシーンの美しさには悶えたね！正直所作の美しさは今んとこ今年の映画の中でもベストやったかもしらんね、ぺろぺろ

そして、カニバな性癖を持つようこを演じるのが、井口昇監督がしばらくメジャーやテレビでらしくない作品をいくつか撮ったのちに、インディペンデントに見事に舞い戻った傑作「IDLE NEVER DiE」で松井冬子の幽霊画から抜け出したような圧倒的存在感を見せつけマシンボーイを魅了したブラジルさんでしてね！ぺろぺろ
本作では「IDLE NEVER DiE」ん時よりもそこいらに普通にいそうな？感じの女の子の役ながら、やはりその独特な存在感で作品の肝となっており素晴らしかったし、歯列矯正フェチの方にもぶっ刺さったんとちゃうかな？うん、井口昇×ブラジルのコンビには黒澤明×三船敏郎やスコセッシ×デくらいの相性の良さを感じたのよ！次のコンビ作にも期待大
とりあえずマシンボーイもブラジルさんに足でポテチ食わせて欲しいから奴隷専属契約してくれんやろか？え……でも奴隷になったらおでこカッターで切りとられて喰われることになるんかなぁ……こぇぇ、マシンボーイは所詮ソフトMスンスン

ちなみにこれ、一般公開の予定が無いのか？六本木の、へんな……スナックを即席のホームシアターで劇場にしました！みたいなとこで限定公開されているんやが……そんなんやから入場した時に頂いたチラシはレアやから大切にせなあかんな！思っていたのに……
うん、これ観た後にジムの予約していたから2Lの水をカバンにいれていたんやが、ジム終わったあとに蓋が緩かったんかな……たった今飲み残した水でビシャビシャになった「カニバさん･異端の純愛」のチラシをギュッと手の中で握り潰したところです……スンスンスンスン

ブラジルと立花心のビジュアルがマジで井口昇の映画向けの逸材すぎる。イカれた美少女が人肉喰ってる画だけで相当面白いのに、そこから真面目に刺さる純愛映画作ってるのもまあ誠実。

開始2分で溢れ出るフェティシズム。

前作同様、いや25%増しぐらいな特濃井口昇汁を流し込まれ、お腹いっぱいで口の中にも後味が残る。尺が70分ぐらいだったんで良かったが、あと7、8分長かったら胃もたれしてたな。

理解とか共感なんぞ100万光年彼方に置き去りに、とにかく撮りたい画を撮った井口監督が嬉しそうで何より。そして監督の要求に全力で応えた主演女優の心意気と顔芸に惜しみない拍手を送りたい。

でも上映後の舞台挨拶で「喋る内容がほぼ固まってる感」を醸し出してたのは感心せんぞ。

余談:カニバリズム描写に於ける特殊メイクからは如何ともし難く低予算感が滲み出ているものの、それが却って緩衝材となり見易さに繋がっているという印象なんだが、仮にそれなりの予算を獲得できていたとしたら、果たして井口監督はもっとリアルなメイクを求めたのかが気になる。