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男と女のRのレビュー・感想・評価

男と女(1966年製作の映画)
4.5
もんのすごくオシャレな恋愛映画! あまり期待せず久々に3回目見て、今まででいちばんうっとりしてしまった。期待せず見るのがいちばんいいかも笑。ストーリーはこの上なく単純。お互いにパートナーを死によって失っていた男と女が、寄宿学校への子どもの送り迎えをきっかけに出会い、男の車の中でいろいろ話すようになり、子ども同士も仲良くなって、男と女も気持ちが高まっていく、って流れで、まぁ何でしょう、素敵な男性が素敵な女性と恋に落ちる、オシャレな恋愛の理想像みたいのが延々と展開。まったくリアリティがないので、一般人男女である我々からしたら笑止千万なわけなのですが、非常に美しい映像と音楽によってこれが何とも言えぬロマンチックな映画になっている。ちょっとやり過ぎなので、人によっては興醒めするであろうくらいの盛り具合。しばしば色彩が白黒やセピアに変わったり、ソフトフォーカスの効きまくったいかにも洒落た画が繰り返し出てきたり。個人的にはビーチで犬と戯れるショットや、浜辺をただ歩いてる人を後ろからとらえたショットや、発車する電車を男が見つめるショットなどが、もう素敵すぎて、よだれ垂れるかと思いやした。音楽はあのあまりにも有名な、ダバダバダ、ダバダバダってやつを含め、どれもこれも、どこまでも甘く、はかなく、美しく。こちらもやり過ぎやわー。全部やり過ぎ。故に、夢を見ているような気分になってくる。これぞまさに夢見心地。その情感を高めまくってるのが、ヒロインを演じるアヌークエーメの非の打ち所がない完璧なルックス。ヘアスタイル、顔、表情、スタイル、ファッション、所作、すべてがステキな女のそれら。男はジャンルイトランティニャンで、派手なイケメンではないが、アヌークエーメと並んで引けをとらず絵になるのだから、まぁ相当の美男なのでしょう。本作の欠点を挙げるとすれば、すべてを理想の恋愛像にチューンイン過ぎて、一般人にはまったく共感できないことではないでしょうか。しかも、女は映画撮影時のスクリプトガール、男はレーサー、と、特異なお仕事の人びと。うん、洒落てるね、キレイやね。で終わってまう。まぁでも、恋愛とはこの上なく美しく、崇高なものである(べきである)、と夢見てる人にとってはたまらない映画かもしれない。目を覚ませ!とは言いませんが、期待は大きくしないほうが身のためだぞー。この映画を見て恋愛を夢見ては絶対にならぬ。けど、すごく素敵な映画ではある。このギャップがおもしろいのかもしれぬ。
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