磯部鉄平監督の最新作。とは言っても3年間ブランクがあったそうで実際制作に取り掛かったのは他の作品よりも前だったとか。そう言われても全然気付かなかった。

この作品は「嘘」がテーマになっていて、様々な場面で嘘が出てくる。嘘ってつきたくてつく人はほんのひと握りだと思う。そういった葛藤が表層ではなく、その人が抱く深層心理まで伝わって来る。さらに3年間のブランクが自然と作品に深みを増したのかも。音楽の使い方もすごく良い。

江東区深川近辺。人情味ある町をロケーションにしているところもこの作品とマッチしている。

嘘もまことも、その先に続く言葉を考えさせられた。

《第21回大阪アジアン映画祭2025》

そこに「人」がいることが必要な状況
そこに嘘があったとしても救われる人がいる
善悪で語ることができない嘘があると思うし、人は許すことでしか前に進めないのだと感じた


西葛西で撮影されたそうですが、下町の温かみとノスタルジックさが絶妙に切り取られていて親近感の湧く映像でした。
優しく穏やかに物語は展開して、ラストの曲の雰囲気や歌詞も一体感がありました。
こんなに素敵な作品を映画館で観れて良かったです。