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キリコのタクト~YELL~

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キリコのタクト~YELL~の作品紹介

キリコのタクト~YELL~のあらすじ

特集企画「伝説の⾳楽教師」の取材を任された⾳楽出版社勤務の北村翔(藤原⼤祐)は、今回取り上げる⾳楽教師が、⾼校時代の恩師・原⽥貴理⼦、通称:キリコ(鈴⽊京⾹)だと知る。 全国合唱コンクールで数々の賞を獲得し、「優勝請負⼈」と呼ばれていたキリコが、現在は消息不明となっているということを知る。キリコの⾜取りを追うべく、⺟校を訪ねた翔だったが、有⼒な⼿がかりは得られずにいた。そんな中、翔はかつての合唱部のメンバーで同級⽣の⻄川花蓮(井頭愛海)、南野葵(⽥辺桃⼦)、東⼭慎吾(⻄垣匠)と再会。⾃⾝を含め、学⽣時代にキリコから救われた経験を持つ元教え⼦たちが、謎に満ちたキリコを探す旅に出る。 次第に明かされていく教師の素顔と教え⼦たちに隠されていた真実とは̶̶

キリコのタクト~YELL~の監督

雑賀俊朗

原題
公式サイト
http://surf-entertainment.com/kiriko.html
製作年
2026年
製作国・地域
日本
上映時間
128分
ジャンル
ドラマ
配給会社
KeyHolder Pictures

『キリコのタクト~YELL~』に投稿された感想・評価

kuu
3.5
『キリコのタクト YELL』
製作年 2026年。上映時間 128分。
映倫区分 G 製作国 日本

第76回NHK全国学校音楽コンクール中学校の部課題曲として制作され、第51回日本レコード大賞で優秀作品賞を受賞した「いきものがかり」の楽曲「YELL」に着想を得て、「カノン」「レディ加賀」の雑賀俊朗監督が描く音楽ヒューマンドラマ。

映画『キリコのタクト~YELL~』は、過密な要素を抱えたストーリーの危うさと、音楽的パフォーマンスの熱量が均衡を保つ、独特な立ち位置の合唱ドラマでした。盛り込まれた社会課題の多さに対して解決へのプロセスが拙速である点や、どこか時代錯誤に映る強引な指導者像、先が見通せてしまう王道の展開については、映画としてやや大味であるという冷ややかな評価を受けるのも頷けるかな。また、地域性を強く押し出した演出が物語の没入感を削ぐという意見も一理あり、ドラマの整合性を厳しく追求する観客にとっては、評価が分かれるポイントと云わざるを得ないかな。
 
でも一方で、演出や脚本の不備をねじ伏せるほどにキャスト陣の表現力が際立っているのもまた事実でした。専門的な所作を叩き込まれた指揮姿は画面を力強く牽引してたし、実際に歌唱に挑んだ若手陣の生々しい声は、技術的な上手さ云々を超えた感情をストレートに届けてはくれました。名曲が持つ本来の訴求力と演者の熱量が完璧に重なるクライマックスじゃ、それまでの強引な展開に対する不満を払拭させるほどの情動的なピークが生まれてたし、エンターテインメントとしての見ごたえを確かに生み出していました。
 
タイトルに掲げられた言葉の対比を辿ると、本作が描こうとした構造が浮き彫りになるかな。タクトがバラバラな人間関係を統制し調和へ導く規律の象徴であるなら、YELLは抑圧された個々人が外部へ向けて発する生々しい感情の叫びと云える。不調和な日常を生きる若者たちが、タクトという枠組みを通して声を重ね合わせていくプロセスは、個の分断が進む現代において、いかにして他者との繋がりを再構築するかという普遍的な問いを投げかけてはいます。
 
人間が声を合わせて歌うという行為は、単なる音楽的表現にとどまらず、集団における感情の同調と内面的な治癒をもたらす強力なプロセスとして機能していると個人的にも思っています。複数の人間が同一の呼吸とピッチで発声し、互いの声に身体を共鳴させる体験は、個々人が孤立した状態で抱え込んでいる孤独やストレスを緩和し、言葉による対話を超えた強固な連帯感を芽生えさせると。劇中で提示される複雑な葛藤や人間関係の摩擦が、論理的な話し合いではなく合唱という身体的な協調動作によって一気に昇華されていく様は、思考や理屈を通り越して人々の感情を揺さぶる体験の生々しさを物語っているかと。
 
総合的に見れば、重厚で隙のない人間ドラマを期待する層には物足りなさが残る反面、圧倒的な音のエネルギーと分かりやすい王道の感動体験を求める層にはしっかりと響く作りになっていると思います。長所と短所が明確にせめぎ合い、鑑賞者の視点によって賛否の比重が変わるという意味で、まさに可もなく不可もなく、しかし確かな見せ場を備えた佳作という評価に落ち着く作品でした。


小さな音楽出版社に勤める記者の北村翔は、雑誌「音楽ジャーナル」の特集企画「伝説の音楽教師」で、全国合唱コンクールに数々の優勝をもたらし「優勝請負人」と呼ばれた原田貴理子を取り上げることになる。しかし貴理子は突然教職を退き、消息を絶っていた。実は北村にとって貴理子はかつての恩師。当時の合唱仲間とともに記憶をたどりながら、北村は貴理子が姿を消した理由に迫っていく。
この映画は、伝説の教師の物語。
​合唱コンクールの「優勝請負人」と呼ばれた伝説の音楽教師、原田貴理子(キリコ)。
彼女が厚木学園在任中の教え子で、現在は小さな音楽出版社に勤める北村翔は、
上司から会社の特集企画として、恩師であるキリコの取材を命じられる。

​しかし、彼女は突如学校を退職し、消息不明の身となっていた。
有力な手がかりが得られぬまま母校を訪ねた翔は、学生時代にキリコの熱い指導と、
魔法のタクトによって救われた、かつての合唱部仲間たちと再会を果たす。
翔は​恩師の知られざる足跡を辿り、消えたキリコの所在を探す事になるのだが、、、というお話。

「ご当地映画に名作なし」という言葉はもっともらしい格言であり、
確かに観光PRに偏りすぎて、物語の強度が疎かになるという傾向はある。
ただ、今作に関してはそうした課題を力強く突破し、予想以上の見応えだった。
(゚A゚;)マジ?

その最たる要因に挙げられるのは、今作は「ご当地映画」であると同時に「音楽映画」であった点になるだろう。

​音楽映画としての構造が予想以上に巧みで、劇伴は極力抑えられており、
代わりに生徒たちが奏でる「合唱パート」が劇伴の役割を幾度も果たしている構成なのだ。
劇伴を削る演出は、一つ間違えると間が持たなくなるリスクがあるが、
今作では、予想以上に高い生徒たちの合唱歌唱力によって成立していた。
一応「全国大会優勝」の肩書きが付与された合唱なので、それなりの聴き応えがあるのだ。
( ゚д゚)ハッ!

合唱の歌声が物語の感情曲線をそのまま表現しており、
音楽映画としてのカタルシスを十分に与えてくれる。
​なお、いきものがかりの大ヒット曲「YELL」に着想を得ている背景を踏まえると、
劇中の合唱曲に込められた青春の切なさや力強さが、より一層味わい深く感じられた。
これが、ご当地映画という側面だけならば、確かに辛い作り上がりの映画だったが、
いきものがかりのメロディが流れる音楽映画ならば、話は変わってくる。

たとえば、映画「366日」も、ある種の沖縄ご当地映画だと思うのだが、
多少強引なストーリーラインでも、音楽がバチクソ良ければ、いい映画の鑑賞後感になるのだ。
音楽映画は、マヨネーズやニンニクや醤油みたいなものであり、
マヨネーズ入れときゃみんな美味く感じるし、
ニンニク入れときゃみんなパンチのある味になるし、
刺身を食う事は醤油を食う事と同義なのである。
いきものがかりのメロディを使っとけば、いい映画になんとなくなるのだ(笑)
工エエェェ(´д`)ェェエエ工

​今作を支える土台は、舞台となった厚木市のロケーションである。
市街地の現代的な景観と、少し足を延ばせば広がる豊かな自然環境。
この「都市と自然の融合」が、作品全体に開放感と独特の情景をもたらしている。
さらに、厚木ゆかりのキャストを積極的に起用したキャスティングが見事にハマっており、
単なるロケ地提供にとどまらない、真の意味での「地域と一体化したご当地映画」としての高いクオリティを確立していた。
ちなみに私は、厚木が生んだ大スター、榊原郁恵の実家も、
近所出身の人から伝授されていたので、特定済である(笑)
(-ω☆)キラリ

ご当地俳優の中では、​序盤の「ツカミ」として配置された、小泉今日子の存在感が抜群であり、
小泉今日子のキャラクター造形が一風変わった使われ方をしていた点が、かなり効いていた。
ネタバレになるので黙っておくが、思わずニヤリとする演出で、
物語の開幕としてこれ以上ない引き込みを見せてくれた。
(・∀・)ニヤニヤ

​今作の脚本と展開は、どこか昭和平成を想起させる独特の匂いがあった。
言い換えれば、セリフ回しが少し、古臭い感じがする。しかし、逆にコレが良かった。
なんだか「3年B組金八先生」のような古臭さというか、
金八シリーズの脚本家である、小山内美江子イズムを連想するような、独特のセリフ回しなのだ。
( ゚д゚)ハッ!

キリコ先生の名言らしき力強い言葉を端々に散りばめる構成で、
ストレートで、時に「臭い」とすら言える古典的なセリフ回しであり、
そして主要な生徒役一人ひとりの、抱える葛藤や背景を意外なほど丁寧に順番に掘り下げていくアプローチなので、
やっぱり金八っぽい作品なのだ。金八ドラマの「臭さ」が好きな人なら相性がいいかもしれない。

​映像表現の文脈としては「映画というよりはTVドラマ」に近い質感を持っているが、これこそが今作の味でもある。
( ー`дー´)キリッ
名取裕子が出てくるから余計にそう思うのだけれど(笑)、
生徒役の少し拙い演技すらも、「初期『3年B組金八先生』の生徒役たちのリアリティ」だと思えば完全に許容範囲であり、
むしろ青春の未完成さと相まって、微笑ましくすら見えてくる。

​合唱部の合宿シーンなんかも、いかにも文化部っぽい合宿の雰囲気であり、
運動部の合宿風景とは異なり、Tシャツ姿も弱々しい。
演劇部出身の私にはこの雰囲気だけで、なんだか懐かしかった。
(ノ∀`)アチャー

​そして特筆すべきは、主演の鈴木京香だ。
( ー`дー´)キリッ
鈴木京香を主演にツモれた事が、最大のポイントになっている。
鈴木京香は、今作のような「臭いセリフ回し」との相性は抜群に良い。
思えば、彼女は朝ドラ女優であり、三谷幸喜脚本の「王様のレストラン」といった、
「ドラマチック」で「言葉の圧力が強い名作群」で全国区となった女優なのだ。
( ゚д゚)ハッ!
古典的で熱量の高いセリフを浮かせずに、凛とした説得力をもって響かせる技術はまさに、彼女の真骨頂。
「臭いセリフ」を極上のドラマに変える彼女の芝居が、今作の骨格を完璧に支えていた。
​
それから「音楽映画あるある​」として、物語が最高潮を迎えた後のエンディング部分。
「いきものがかりがラストに流れてくるかと思いきや、前田亘輝が流れるんか〜い!(笑)」
という、お約束のスカしっぷりは、
「366日」でも「HYの『366日』がエンディング曲じゃないんか〜い!(笑)」ですでに学習済だったから、動揺はしなかった(笑)
映画終了後、客席から「いきものがかりじゃなかったねぇ〜」と会話があちこちから聴こえてくる、
この手の映画の「お約束」も堪能できたし、
前田亘輝と女性シンガーとのデュエット曲も、
これはこれでなかなかのクオリティで熱唱する良い曲だったのも、笑顔になる要因だった。
( ゚д゚)ナルヘソ!

ただし!
(ΦωΦ)フフフ…

厚木って実は、私の生活圏のエリアだから分かるのだが、
野外歌唱シーンで頻繁に使われていた、素晴らしいロケーションの七沢森林公園について。
(゚Д゚)ハァ?

主人公のキリコ先生、足が不自由な設定なんだけれども、
足が悪い人が簡単に生き来できるような公園じゃね〜から!
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
高低差ありすぎて、ほぼ「山登り」の公園だから!!!(笑)
(ノ∀`)アチャー

うちの母親も足が悪くて、ウォーキングで一度訪問したら、
「こんな疲れるとこ、二度と連れてこないで!」ってブチギレてたから!
(^_^;)

良かった演者
鈴木京香
藤原大祐
西垣匠
小泉今日子
井頭愛海
田辺桃子
宅麻伸
名取裕子
ぶみ
3.5
あの日に伝えたかった「ありがとう」を歌に乗せて。

いきものがかりの楽曲『YELL』から着想を得た雑賀俊朗監督、脚本、鈴木京香主演によるドラマ。
合唱コンクールで優勝請負人と呼ばれた伝説の音楽教師の姿を描く。

主人公となる音楽教師の原田貴理子を鈴木京香、教え子で雑誌記者の北村翔を藤原大祐、北村の同級生を井頭愛海、田辺桃子、西垣匠が演じているほか、小泉今日子、榊原郁恵、小西博之、宅麻伸、名取裕子、大島さと子、四方堂亘等が登場。

物語は、『YELL』の合唱曲の歌声が緑の木々の下に響き渡り、タクトが振られる中、タイトルが浮かび上がるという青春もののような爽やかなオープニングとなっている。

次には、小泉演じる音楽出版社の編集長に呼ばれる北村が登場、北村が向かうと、編集長はデスクでまさかの酒瓶片手に手酌酒をしていて、この会社は大丈夫なのかと思わせるブッとび具合。

そんな編集長は、雑誌の企画で、現在消息不明となっている伝説の音楽教室の原田貴理子を探し出し、特集記事を書くように北村へ依頼、実は、貴理子は北村が高校時代に全国合唱コンクールで優勝を果たした際の恩師であり、以降、北村がかつての合唱部のメンバーや、関係者に会いながら、貴理子との思い出が回想シーンとして描かれつつ展開。

貴理子は、当時、片足を痛めていて杖をついて歩いていたものの、私生活は一切語らず、教師間の懇親会にも参加しない反面、合唱部に生徒を強引に入部させたり、生徒の私生活にグイグイと立ち入ったりと、かなり個性的な教師で、そんな貴理子を鈴木が熱演。

何より、北村が関係者に取材を進めるにつれ、消息不明の貴理子の過去が明かされていく様は、サスペンスとは言わないまでも、ロードムービー的な雰囲気があって、その結末がどうなるのか見入ってしまった次第。

クルマ好きの視点からすると、満開の桜の下を駆け抜ける田辺演じるラジオパーソナリティの愛車が、日産・サクラだったのは、舞台が日産の開発拠点がある厚木市らしく、なおかつ桜繋がりで小粋な演出となっていたのは見逃せないポイント。

若干、時系列が分かりにくかったり、各キャラクターのエピソードが渋滞気味ではあったが、実のところ、あまり期待していなかったせいか、思いのほか手触りの良い作品であったのは良い意味で裏切られたとともに、小田急電鉄の本厚木駅で流れる『YELL』が心地良かったのに加え、田辺の制服姿も、まだまだイケるかもと感じた良作。

殺したらええやん、頭の中でな。

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