こぼちゃん

お引越しのこぼちゃんのレビュー・感想・評価

お引越し(1993年製作の映画)
4.5
監督 相米慎二、脚本 奥寺佐渡子、小此木聡、原作 ひこ・田中。大好きな父と母の別居の中、小学生の少女の葛藤と成長を描く。

masayaさんのレビューを見て鑑賞。YouTubeでも、GYAOの作品で自由に視聴できます。

小学六年生の漆場レンコ(田畑智子)は、ある日両親が離婚を前提としての別居に入り父ケンイチ(中井貴一)が家を出たため、母ナズナ(桜田淳子)とともに二人暮らしとなった。

最初のうちこそ離婚が実感としてピンとこなかったレンコだったが、新生活を始めようと契約書を作るナズナや、ケンイチとの間に挟まれ心がざわついてくる。

まだ、小学4-5年生だから離婚が理解できず、毎日でもパパやママに会いたい主人公。関西弁(京都、奈良、関西の違いは分かりません😂😂😂)が情を感じて気持ちいい。

小学生の頃は女子の方が大人びてくるが、家でも学校でも元気。直ぐに、標語を言う、根は明るい性格。宮崎監督の作品にも出てきそう。シビアな話なのに、笑いと、家族の大切さ、立ち上がり方を教えてくれる。

食卓では、会話が弾む、明るい家庭。野菜はちゃんと食べないといけないよ(主人公が、パパやママに、忠告)。

同じ様な境遇で東京から京都に来た、転校生サリーと仲良くなる。また、レンコに気のある男子の生徒、ミノルが色々、気持ちを察してくれる。パパの家に行ったり、ママと追いかけっこしたり、サリーをいじめる級友に切れたり。

大文字焼きや京都の祭り、琵琶湖周辺の自然と祭りが美しい。ふと出会った、お爺さんから、『昔の思い出は、片手で十分』と言われる。嫌な思い出は忘れて、いい思い出を大切に、前に進もうと考える主人公。

琵琶湖に家族で何度も行った昔の思い出を、自分へのプレゼントの箱に入れ赤いリボンで結び、心の底にしっかりと大切に置くような、少女の成長がとても健気でした。
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