石原慎太郎の原作をリスペクトしながら製作し、美しい光と影の表現と、賭場で横にずらっと並ぶ人たちを横長の映画のアスペクト比の良さをふんだんに使い撮影し繋げ、いいところで加賀まりこの大きく、全く瞬きをしない黒い瞳の顔をアップで見せ、スタイリッシュに描かれている作品だと思いました。加賀まりこの瞳あってこその映画でした。

また、主人公の女性の扱い、スタイリッシュで軽やかで尊重を持って関わるあの男性像、きっと石原慎太郎のロマンで、現代の作家ではなかなか描けないかっこよさを持った男性像でした。女性の髪や手の触り方。一言一言かける言葉など、どこまで小説に忠実に描いたのは不明ですが、演技をしている池部良さんも一つ一つの演技を注意深く、彼の性格であればどのような振る舞いをするだろうと考えながら撮影を進めたのではないかと推測します。

2025/11/4　映画祭