回想シーンでご飯3杯いける

ゴッドファーザーの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)
2.8
10年以上前に観た時は、あまり印象に残らなかった。映画の経験値みたいな物もあるはずで、試しに再挑戦してみたけど、結果から言うと、前回鑑賞時と印象は変わらず。むしろ時代が進んだ事で、この作品が持つ古い価値観が更に気になってしまった。

所謂マフィアを題材にした作品でありながら、イタリアをルーツに持つファミリーを軸にした物語として作られている事。そこからうっすらと炙り出される第二次世界大戦直後のアメリカ社会や人種差別の構造、それを表現する役者の力量、音楽等、見所自体はある程度把握しているつもりである。

ただ、1940年代を舞台としているものの、1972年に公開された映画としては、描き方があまりに古風過ぎないか。特に気になるのが、男だけで話が進む点だ。女性は「男の仕事に口を出すな」のひと言で片付けられる。その割に、結婚式やセックス絡みのシーンではそれなりに持て囃されるから、余計に気分が悪い。

'30年代の「或る夜の出来事」や、'50年代の「ローマの休日」等で、既に若い女性が人生を謳歌する姿が描かれていた事を考えると、それらよりかなり後に作られた本作の描写は、あまりに古く、敢えてそうした描写を好む層に向けて作られたのではないかと邪推してしまうほど。

先に挙げた社会背景に関しても、作品内で特に語られているわけでは無い。後から考察サイトで調べて把握しても、それを映画作品の評価として加点して良い物なのかと、少々疑問に思うのだ。

公開当時にそれなりのニーズやインパクトを有していたであろう事は想像できる。しかし、僕は同じマフィア物でも、この10年、20年後に登場する「カリートへの道」や「アンタッチャブル」(共にブライアン・デ・パルマ監督作品)の方が、映画的な冒険心に溢れていて、好みである。