140字プロレス鶴見辰吾ジラ

アカルイミライの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

アカルイミライ(2002年製作の映画)
4.0
THE BACK HORNの「未来」は名曲

私はTHE BACK HORNというロックバンドが大好きで、その中でも取り分け好きな曲が今作の主題歌である「未来」

黒沢清監督強化月間と自身で銘打ってますが、私が黒沢清監督を知ったのはTHE BACK HORNの「未来」のタイアップが始まりでした。当時高校生くらいでしたが、そのとき逆に今作を鑑賞しなくて良かったかなと…

ザラついた映像の中でとくにあてもなく生きる若者。唐揚げが小さいとキレる制御不能な若者。そして焦燥感。黒沢清監督の中でもひときわ異彩を放つ青春モノ。「回路」では、加藤晴彦と小雪が「行けるところまで行こう」のシーンでの青春感はありましたが、今作は女子禁制。衝動の抑えきれない若者と友の父親の再生を陰鬱な映像で淡々と描きながらも何か心に希望が灯るような後味を、川を大移動するクラゲの群れという非日常感溢れる光景の妙でワンオブゼムの青春モノとしてう漏れぬように描き切ってます。

人は人を傷つけながら、それでも成長して行く、そこに頼れる人、甘えられる人、認めてくれる人の存在があることで、衝動との共存を果たしていくという野生的ながら愛情を必要とする愚かな人間像を終盤に向けてクリアになっていく映像とともに堪能でき、それこそクライマックスのクラゲの群れのシーンで上げてくる面白い魅せ方の作品でした。

「逃げ込むのは夢の中か刑務所の中」という現実を受け止めようともがくことに対してストイックになれるセリフもあった。



THE BACK HORN好きとして、巡り巡って黒沢清監督に巡り合うとは…

フィルマークスの皆様でTHE BACK HORNファンはどれくらいおられますでしょうか?

私は「未来」の他に
「サイレン」
「ガーデン」
「レクイエム」
「ハッピーエンドに憧れて」
が好きです。