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戦争のはらわたのwigglingのレビュー・感想・評価

戦争のはらわた(1977年製作の映画)
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カナザワ映画祭2016戦争映画特集の一本。
いつもは悪役としか描かれないドイツ軍の物語を強烈なバイオレンスで描写したペキンパー作品。ドイツ語版&爆音上映で。

原題は「鉄十字勲章」というドイツ軍人にとっては最高の栄誉であり、その勲章を巡る男たちの物語です。舞台は『炎628』と同じ第二次世界対戦での独ソ戦。といっても彼らはナチスではなく、むしろ軽蔑すらしている。
こんなふうに物事を多面的に見る視点を得られる機会っていいですよね。本作と『炎628』が並ぶプログラムの素晴らしさ。

主人公のシュタイナー軍曹を演じるジェームズ・コバーンの無頼漢ぶりが実にカッコいいんですよ。『暴力脱獄』のポール・ニューマンを彷彿とさせるクールさを備えた人物。部下や同僚からは慕われるが、上からは厄介者扱いされてるのも。
彼は鉄十字勲章を贈られた有能な軍人だかそんなものはゴミだと言い、一方で小者の上官であるシュトランスキー大尉は勲章を授かろうと画策する。

よくある対立構造で、クライマックスはこの二人の決闘なんだろうなということが読み取れる。
その決闘が直接のどつき合いではなく、どちらが勲章に相応しい軍人なのかの戦いなんですね。これが実にイイんですよ。結果は最初から分かってるんだけど、それ故の痛快さがある。

本作でもペキンパーお得意のスローモーション使いが炸裂しています。戦争映画ではあまり使われないこともありフレッシュ。ドイツ軍の女性兵士軍団との絡みなんかもあって楽しい。
そして戦争の無意味さもちゃんと描いた立派な反戦映画でもある。

邦題の評判があまり良くないけど自分は好きですよ。「はらわた」ってなんとなくスプラッター的イメージあるけど、こころ、精神、性根といった意味ですからね。
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