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軍服を着た神様
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『軍服を着た神様』に投稿された感想・評価

minavo
3.5
台湾で日本兵が神として祀られているナゾを追ったドキュメンタリー。

昔だと「ムー」、ちょっと前の「怪」とかにしかのってないような、宗教民俗学的な摩訶不思議ドキュメンタリーでおもしろかった。

台湾が親日すぎるから?とか、こうなんだろうなというイメージをことごとく裏切ってくる。

なんなら1970〜80年代と比較的、最近から祀られだして、そのきっかけになった霊体験を体験した当人(しかもあちこちで何人も!)が語ってる映像は、オカルトホラーのモキュメンタリー映画顔負けだ。

東日本大震災後の石巻で、タクシーの運転手さんが、幽霊の客を乗せすぎて業務に支障が出てるという悩みを現地で聞いたことがある身としては、人間の脳が強いストレスに晒されたときに、痛みを緩和する麻薬のように、何かしらの幻覚をみせるということがあるのではないかという説と同じことが、台湾でも起こっているんじゃないか?と思えてならない。
米軍機に撃墜された日本軍の飛行士など台湾で不慮の死を遂げた日本人の亡霊が成仏せず祟るからという理由で手厚く祀る台湾の方々。台湾人の信仰深い様子が見られて良かった。日本人の偉い軍人さんを祀っているわけではないし、神様といっても格もそんなに上でないことに安心した。以前ペルーの映画を観て、シャーマンがいる伝統社会と近代社会は両立しない、近代化が進めば伝統は消えるのではと思っていたが、台湾は両立しているところがすごい。
大大
4.0
台湾=親日というイメージを余裕で追い越す、
旧日本軍人を神として祀ることへの
『違和感』を解明しようとするドキュメンタリー。

-

台湾は、中国からの独立国である以上、
地政学的な孤立を防ぎ、

自国を守るための生存戦略として、
『親日』という雰囲気があるのだろう、
と漠然と思っていた。

だけど、映画の中の台湾の人々を見ていて、
そういう打算的なものとは違う、
自発的な何かがあるように見えてくる。

「台湾=親日」というイメージの枠では
到底語れない何かが。

異国の戦死者の亡霊が引き起こす
「祟りへの恐れ」から始まった祀りが、

日々のお供えや礼拝を通じて、
次第に親しみへと変わっていった
時間の重みがすごい。

暴力を伴った侵略の過去があったにも関わらず、
異国の軍人を「神」へと昇華させるまでの流れには、

台湾ならではのカルチャーというか、
気質としか言い表しようがない何かがある。

「どのような大義や命令で戦っていたか」という
国家的なものへのリスペクトというより、

「自分たちの村を命懸けで避けて墜落してくれた」
といった、
個人的な事実を重視しているようだった。

漁師の網に引っ掛かり続ける卒塔婆や、
橙色のコウモリに導かれて旧日本軍の射撃場に導かれる不思議体験も、

やはり、
個人的なエピソードがルーツになっている。

ただ、廟の向かいに掲げられた旭日旗は、
どんな想いで掲げられてるものなんだろう。

神格化した個人に寄り添った
おもてなし的な想いだろうか。

祀られているのは、
太平洋戦争期の旧日本軍人というイメージが強かったが、

明治初期の台湾出兵時の軍人まで
含まれていることに、驚いた。

宮古島からの漂流民殺害への報復
という名目で行われた台湾出兵には、

「中国(清国)が統治していないなら侵略しよう」
「曖昧な琉球領有を正当化したい」
といった、
日本側の狙いが見え透いている。

政治的な都合で動いた
「国家」の動機と、

その激動の中で死んでいった
「個人」の霊を慈しむ情。

このズレの違和感が、終始ミステリーだった。

映画は、右派にも左派にも、
感情的に寄らないように、

なるべく客観的な視点から
淡々と描こうとしている姿勢がよかった。

あと、馬喰町バンドの音楽が、
歴史の深刻さと能天気さを行き来していて、
最高だった。

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