horahuki

ベンのhorahukiのレビュー・感想・評価

ベン(1972年製作の映画)
3.8
絶対死ぬもんか!!

ネズミを使役してムカつく上司に反撃するネズミホラー『ウィラード』の続編。それほどホラー要素が強くなかった前作に対して、本作はネズミたちが束になって人を襲う姿を何度も描く真っ当なアニマルパニック。今日は多分色んなネズミ映画が見られてると思うので、私は長らく放置してたコレで!

ちなみにタイトルにもなっている『ベン』は、前作で主人公ウィラードの友達だった賢いネズミのことで、本作の主役的な立場。このベン率いるネズミ軍団が数で人を圧倒し次々に息の根を止めていく恐怖シーンが本作の売りではあるのですが、ベンと病弱な少年ダニーくんとの間で芽生える異種間の友情物語がそれ以上の見どころ。

ダニーくんは心臓に病気があって、二度目の手術が控えてる。死ぬ可能性もあるその手術に「絶対死ぬもんか!」と力強い言葉を口にしつつも、病弱ゆえに友だちもおらず孤独な日々。そこにイマジナリーフレンドのように登場するベン。ネズミ特有の社会的弱者としてのイメージと、ずっと家に篭り社会から忘れ去られた自身を重ね合わせ、友情を育んでいくのが見ていてほっこりするのだけど、それ以上に辛い…。

ネズミを捜索している警察とネコを上から見下ろし観察するベンの表情が、得体の知れない知性を感じさせ、ネズミを前に逃げ出すネコのシーンを挿入することによって束になったネズミを脅威として観客に認識させてから行われる人への攻撃。社会から忘れ去られた存在が社会を脅かす存在へと変貌するという説得力をスムーズに高める演出の手堅さは、同じく忘れ去られた存在であるダニー少年の「自分はここで生きているんだ!そしてこれからも生きていくんだ!」という叫びにもつながっていく。

母親に対して心を開いてくれないと語られる一方で、ベンには部屋の窓を開ける(=心を開く)ということから、親の愛情を十分に受けられてないことが窺えるし、ダニーくんにとって親以上の拠り所となったベンを命にかえても助けに行こうとする彼の行動にも必然性が生まれてくる。そしてそこには友達だから助けたいというポジティブな意味合いだけではなく、ベンなしでは生きていけないほどの依存にも似た病的な必死さすら感じさせ、2人の関係性に暖かさだけでなく退廃的な雰囲気までも含ませてしまうのがうまい。

次はリメイク版『ウィラード』見ようと思います!ネズミホラーは物凄い数あるから、今年はネズミホラー開拓して行こうかな。というか牛ホラーってあるんかな?来年のネタ探しとかなきゃ😅

というわけで今年もよろしくお願いします♫今日は新年の挨拶とかあってタイムライン追えなかったのですが、明日にまとめて見にいきますね!
horahuki

horahuki