平野レミゼラブル

ロアーの平野レミゼラブルのレビュー・感想・評価

ロアー(1981年製作の映画)
4.4
ディズニー、マジで超実写とか言ってる場合じゃないッスよ。30年以上前に実写ライオン・キングやってるんスよって作品が本作だ。監督は『エクソシスト』の製作総指揮を努めたノエル・マーシャルという狂人。家族でアフリカに旅行に出かけた彼は狂人特有のインスピレーションから「そうだ!150匹以上の本物のライオンと戯れる感動巨編を作ろう!!」と思い立ち、あろうことか『エクソシスト』で得た大金を使ってライオンを購入して飼育。そして土地や動物小屋、他の猛獣も買って頑張りました。頑張ってしまった。

本編開始して早々主演も努めるノエル・マーシャルがライオンと戯れているが、どう見ても襲われているようにしか見えない。
明らかに猛獣達を手懐けることに失敗しており、10分に1回は猛獣達が喧嘩を始め、その喧嘩の仲裁に突っ込むノエル・マーシャルがガチで怪我をする(明らかに手から血が出ている)無法地帯と化している。ただ後に『ダイ・ハード』の撮影監督を務めるヤン・デ・ボンがノエルに並ぶ狂人の拘りで、最高に迫力があるリアルな映像を撮っているのが凄く魅力的である。
しかし現場は阿鼻叫喚の地獄絵図だったようで、ノエルの奥さんは象の鼻から滑り落ち骨折、娘はライオンに顔を引っ掻かれ傷が、狂人ヤン・デ・ボンは下からの構図に拘りネットを張って撮影したところライオンにネットを破かれ頭部を200針縫うなどのどったんばったん大騒ぎ!!役者はもはや演技どころではなく、ノエルを除く全員及び腰で、ガチでビビっている。これぞリアリズム!バカ!!

万事がその調子のため、ストーリーなんてあるわけもなく終始役者がライオンたちに襲われている現実を流しているだけという凄まじさ。終盤、監督が入れたかったハートウォーミング路線を組み込んでいるんですが本当に唐突にブッ込んでいるので笑う。
「一晩一緒に寝たけど襲ってこなかったから良い子たちなのよ!」じゃないよ!!ホラ、仲良しアピールしてる最中に唸り声上げてるし!役者の笑顔は明らかに引きつっているし!

そんなワケで、内容としてはないも同然な作品なんですが、唯一無二の怪作なのは確か。ほとんどライオンたちは暴れ回っているけれども、その分たまに戯れている姿は可愛いですから癒しにもなりますね。それに本当狂人の拘った映像は凄いからね、これぞ超実写ということで一度確認してもらいたい作品です。

ある意味オススメ!!