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真夜中の刑事/PYTHON357のMOCOのレビュー・感想・評価

真夜中の刑事/PYTHON357(1976年製作の映画)
4.5
「好きな人ができた
彼に夢中なの、彼を愛してる。

 私たちに部屋を借りてくれる?
・・・
 絶対に反対しないのね・・・」


 オルレアン警察の定年間近のガネイ署長(フランソワ・ペリエ)には若い愛人がいるのですが、妻テレーズ(シモーヌ・シニョレ)は、車椅子生活のためガネイが若い娘と愛人関係であることはテレーズの公認です。
 同じオルレアン警察に勤める部長刑事フェロー(イヴ・モンタン)は、職務に忠実な真面目な男でガネイの有能な部下です。

 フェローはある出来事をきっかけにある女性を愛するようになります。
 情緒不安で、謎めいた女性の名前はシルビア(ステファニア・サンドレッリ)。

 二人はすぐに打ち解けるのですが「一緒に暮らそう」というフェローの言葉には煮え切らない態度が続きフェローは苛立ち公園で口論になってしまい、ケンカ別れの後シルビアをつけ、アパートを突き止めるのですがそこでは感情が押さえきれなくなり頬に平手打ちをしてしまいます。

 愛人の帰りを愛人のマンションで待つガネイは愛人が男に平手打ちを受けるのを目撃するのですが、最上階の部屋から見下ろすため相手を識別することはできませんでした。

 帰宅した愛人と部屋で食事をした後、別れ話がありガネイは灰皿で愛人の後頭部を殴り殺害します。

 ガネイは帰宅すると一部始終をテレーズに話し自首すると言いますが、テレーズは目撃者もなければ愛人のことを誰も知らないのなら名乗る必要はないと言い出します。

 酒場で飲んでいたフェローは思い直しマンションに引き返し集合ポストからシルビアの部屋を見つけて部屋を訪ねます。
 元々玄関ノブが不調だったたシルビアの部屋に容易に入る事が出来たのですがシルビアの気配がないため置いてあったタイプライターに『1:30 許してくれ、君を愛している  M』とメッセージを残し、突然鳴り出した目覚ましを踏み潰し帰宅します。

 翌朝、フェローは部下のメナール刑事から電話で昨夜殺人事件があったという報告を受けるのですが、頭痛を理由にメナール刑事に捜査をまかせます。 
 フェローは出勤すると机に置かれた『シルビア・レオパルディ後頭部を強打され即死』というメッセージを見つけ愕然とします。
 
 間違いなく自分に嫌疑がかかると思ったフェローはガネイに相談するために署長室を訪れるのですが、メナールに同席され初動捜査が報告されタイプライターのメッセージと目覚まし時計を踏み潰した靴のメーカーの報告がされてしまい相談の機会を失ってしまいます。

 フェローは単独で真犯人を探がし始めます。
 一方、テレーズは夫ガネイに「もう一人の男に罪を被せなさい」と言い出します。

 時間の問題で物証はフェローに繋がるためフェローは所持品を焼き尽くすのですが、目撃者は何人も現れ、フェローは顔を覚えていない者には会い、まわりをごまかします。

 僅かな手がかりから真犯人に近づくフェローが証拠として差し出した写真を見たガネイはフェローが自分に迫っていることを知ります。そしてもう一人の男がフェローであることも・・・。
 ガネイは銃を忍ばせフェローの車の助手席に・・・。

 やがて目撃者を集めてモンタージュを作る席に同席することになりなったフェローは自らの顔に酸をかけて焼き・・・。

 唯一事実を知り始めたメナールは強盗団がマシンガンを連射する現場指揮に駆り出され・・・。フェローは・・・。


 証言に繋がる伏線とガレイに近づいていく写真の発見シーンは圧巻、壁紙は暴力的に剥がされて行きます。
 暴かれていく過去のシルビア、愛人がガネイと結び付かないフェロー・・・などなど見所は満載の静かな映画です。

 イヴ・モンタンはその昔日本でも人気のあった俳優てす。追い詰められていく時の表情は演技力の高さを感じさせます。

 タイトルに含まれるパイソン(ニシキヘビ)357は美しいガンプルーの光沢を放ち、強力なマグナム弾を使用するCOLTのリボルバーピストル、私の好きな望月三起也氏の『ワイルド7』ではオヤブンの愛銃でした。映画の中ではオープニングから画面に登場しガンマニアを楽しませてくれます。

 
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