小

裏窓の小のレビュー・感想・評価

裏窓(1954年製作の映画)
3.9
「午前十時の映画祭8」で鑑賞。スルメみたいな映画なのかも。初見ではややあっさりめだけれど、何回も観ると、どんどん味が出てくる感じ。

とあるカメラマンが仕事で足を骨折し、車椅子生活を強いられる。自由に動き回れない彼の暇つぶしは、隣のアパートの住人たちの人間模様を裏窓から見ること。ある日、口論の絶えなかった中年夫婦の妻の姿が突如見えなくなる。夫の行動を観察していた主人公は殺人事件だと確信し…。

初めて観た自分は正直、名作と言われる程の良さを感じ得なかった。舞台劇のように限定した空間でのサスペンスとしてとても良くできているのだろうけれど、目茶苦茶面白いわけでも、感動するわけでもない。主人公と彼の恋人の関係を見ていると、この男、今だったら、すぐに捨てられるよな、と思ったりもする。

しかし、他の映画の紹介で「裏窓のような…」という表現を見かけるように、この着想と完成度は非凡なものなのだろう。誰もが見る窓の外で何か起こり、平凡な日常が物語へと昇華していく。

住人全員の演技が映るロングショットでの緻密な計算と作り込み。窓の中で繰り広げられる人間模様。声は届かなくても、動きで彼らの人生が伝わってくる。ワンシチュエーションの狭さにもかかわらず、アパート全体が一つの世界であるかのような広がりを感じる。

というような後付けの妄想を良く感じることができないまま、途中ウトウトしつつ初回の鑑賞を終了してしまったけど、2回目以降はもっと面白く思える予感が…。
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