神戸典

つぐないの神戸典のレビュー・感想・評価

つぐない(2007年製作の映画)
3.8
家族の元で幼い頃から使用人として貴族の娘セシーリアと妹と仲良く暮らしていたロビーはセシーリアと禁断の恋に落ちる。

それをよく思わなかった妹はある日使用人の娘が行方不明になった事件でロビーを犯人に仕立て上げる。
ロビーは減刑と引き換えにフランスに兵隊として戦争に駆り出されていた。
やっと迎えが来る事を知った翌日、ロビーは息を引き取っていた。
さらにセシーリアも空襲に備え逃げ込んだ地下鉄で配管が破裂し、溺死してしまう。

二人の悲劇から、当時嘘の証言をした妹のブライオニーはつぐないとして自分を含めた三人の人生を着色せず真実を書いた書籍を出した。
決して許されないことを知りながらブライオニーは自分にできることを行った。
彼女は一箇所だけ事実とは異なることを書いた。
それは、2人が再会し幸せに暮らしたという終わりだ。
決して叶うことのなかった願い、しかしブライオニーは心から2人の幸せを願った。

辛い環境の中でロビーはただひたすらにセシーリアの最後の言葉である「私のところに戻ってきて」という言葉を糧に生き残り帰ろうとする気持ちがとても愛の大きさを感じた。

お互いを愛していても引き裂いてしまう現実と戦争という大きな壁が2人のせつなさをより増していると同時に、ブライオニー自身ロビーに恋をしていたが彼の卑猥な言動を目の当たりにして幻滅と苛立ちから起こしてしまった偽りの証言、そして人生かけてそれをれ償おうとした彼女自身の心の痛みがこれ以上ないほど伝わった。
神戸典

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