茜

ヘアスプレーの茜のレビュー・感想・評価

ヘアスプレー(1988年製作の映画)
4.5
DVDを手に入れたので満を持しての鑑賞♪
ウォーターズの出身地でもあるボルチモアという町を舞台に、明るく可愛い世界観ながらも差別問題に鋭く切り込んだユニークな作品。
「ヘアスプレー」と言えば日本でも舞台化されてるらしいし、検索すると最初に出てくるのは2007年版の方だけど、元祖は本作なんですよね。

踊ることが大好きな太っちょの女の子・トレイシーが、飛び込みで参加したダンス番組で一躍注目を集め人気者になるが、その番組裏には厳しい黒人差別があって…という話。
流れてくる音楽は常にポップだし、画面を彩る登場人物の60sファッションやインテリアもカラフルで華やか。
様々な差別に対して高らかにNO!を突きつけつつも決して重苦しくはない、終始明るく賑やかで楽しい。
黒人に対する人種差別は勿論のこと、主人公を太った容姿にすることで見た目に対する侮辱への批判なんかもたっぷり盛り込まれてます。
ディヴァインが主人公の母親と差別主義者の市長という一人二役を演じているところも、深読みすれば人間の表裏や二面性なんかを表現している…ような気もする。

ウォーターズのメジャー進出作という事で彼らしさが失速してないか少し心配だったんだけど全然そんな事なくて、露骨な下品さは鳴りを潜めつつも、随所にしっかり散りばめられた毒気にニヤリ。
物語の一番いいところで主人公に堂々とゴキブリ柄のドレスを着せちゃうセンスが最高なんだけど、これも裏を返せば「皆から嫌われ疎まれる存在」を華やかに仕立て上げるウォーターズの優しさ。ブラボー過ぎるな。

ディヴァインやミンク・ストールといったお馴染みメンバー達は勿論、ウォーターズ自身も個性的な精神科医役で出演してて笑った。
優しさとハッピーに溢れためちゃくちゃ温かい映画。
茜