きき

フィラデルフィアのききのレビュー・感想・評価

フィラデルフィア(1993年製作の映画)
3.2
トム・ハンクスがエイズを患う弁護士役でアカデミー賞を受賞した作品。
監督は『羊たちの沈黙』や『レイチェルの結婚』のジョナサン・レミ。

トム・ハンクス演じる主人公、アンドリューは大手弁護士事務所の期待の星だったが、同性愛者であることとエイズ患者であることを隠していた。
しかし、額に大きなシミのようなものが出来、それがエイズ患者によく見られる症状だった為、怪しんだ同僚により嵌められ、任せられた案件を危うく落とすことになる。
そしてそれを理由に解雇され、何人もの弁護士を当たり、最終的に黒人弁護士のデンゼル・ワシントン演じるジョーに依頼するも、彼にも断られる。それはジョーも同僚たちと同じ、同性愛者を嫌悪し、エイズが簡単に伝染る病気だと思っていたからだ。
しかし、あることをきっかけにジョーはアンドリューの弁護を引き受ける。

というお話。

一応実話ではない、ってことなんだけど、実際は80年代後半から90年代前半頃にかけてあった裁判の話に酷似してるらしく、訴えられてたみたいねぇ。
で、示談にしたのかなんなのか、きっとその話しをベースにしたのかなぁ。
なら、個人的には最初から実話ベースで作り上げた方が良かったのでは?と。

どちらにしろ、これが90年代前半、約30年くらいと割と最近の話なのに、こんなにも差別が当たり前にある時代過ぎて驚く。
確かにエイズって、不治の病で同性愛者に多いイメージなんかがあるけど、それは昔の話、と思ってた。
それでも、昔、はおそらくこの20〜15年くらいより前を指すだけで、こんな酷い仕打ちが当たり前にあったんだな、と思うと鳥肌が立った。

同性愛に対しても、今だからこそ日本も漸く表立って活動が始まったけど、自由の国アメリカでも、30年前ではまだまだ風当たりは強かったんだなぁ…宗教の問題もあるのかな。

色んなことを考えさせられる作品。
ジョーが図書館でアンドリューを見つけるシーン、胸が痛くなるけど、段々とジョーの偏見が変わっていく様子も見て取れるし、アンドリューの周りにいる人たちが全力で彼をサポートしているのが救い。
二人が答弁の話をする夜が印象的。

今でこそ、LGBTQ+を題材にした作品は、ある意味普通の恋愛ものやヒューマンドラマよりも注目される時代。
現実世界にも、男性や女性という枠組みへの疑問視も高まってる。
当時と比べることも出来るし、本当に色んなことを感じることが出来る作品だから、割と埋もれがちな気がするけど知ってほしいなぁ。

ちなみに、アンドリューの恋人役が、当時ハリウッドではまだ駆け出しの頃のアントニオ・バンデランス!

記録 : 2020年110本目。
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