ゴトウ

ギルバート・グレイプのゴトウのレビュー・感想・評価

ギルバート・グレイプ(1993年製作の映画)
3.8
ギルバートに感情移入して観てると余計にイライラさせられるくらいディカプリオの演技がすごい。けどギルバートは声を荒げたり手を上げたりしない。それだけに、してはいけないことをしてしまう終盤の無力感が際立つ。
お母さん(あるいは母性を求める相手?)に火をつけてあげる描写が繰り返されるんだけど、その火がこういう風に結実するのか!というところに「サイダーハウスルール」と同じく丁寧さを感じた。でも一番泣けたのは、ずっとかからなかったエンジンがかかっちゃって「どうしよ…」みたいになるジョニーデップの顔。
無邪気な調子で「僕たちはどこにも行かないよ」と繰り返されると、余計に閉塞した田舎の閉塞した日常が重く感じられる。意地悪な見方をすればお母さんとディカプリオは他の家族にとって重荷でしかないけど、その片付け方は結局、(どこにでもいけると言いながらも)本質的には「どこにも行かない、行けない」まま、でも爽やかっぽい雰囲気で終わるところに一抹の気持ち悪さも感じた。
あと水辺の柳の木は「マイ・ガール」を思い出したけど、有名なロケ地ですかね?不勉強でわかりません。
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