茜

カリフォルニアの茜のレビュー・感想・評価

カリフォルニア(1993年製作の映画)
3.9
怖かったし、中盤以降は本当にドキドキハラハラした。
それ以上に観終わった後にとても悲しくなった。

自分の中でブラピは二枚目俳優の印象が強かったけれど、こんなに狂気に満ちて退廃的な役柄を演じている姿に驚いたと共に、改めて幅広い演技力に脱帽。
以前「ブラピが家族で乗る車のドアをわざわざロックして、その中でめっちゃ臭いオナラした」ってゴシップを読んだ記憶があるけど、この役柄のブラピなら普通にそういう事しそう(笑)
しょっちゅうフゴフゴ鼻鳴らすし、ご飯の食べ方も汚いし、とにかく下品な振る舞いが嫌悪感すごくて、まさに「悪いヤツ」臭が漂う演技力。
そんなブラピ演じる悪役アーリーが徐々に猟奇的な本性を表していく様子が実にリアルで、まるで自分がアーリーと一緒に旅をしているかのように終始ハラハラした。
最後に流れるブライアンの「彼の目を見ても(殺人鬼だと)分からなかった」という言葉がとても印象深い。
今も連日恐ろしいニュースが次々流れてくるし、自分達が気付かないだけで、猟奇的な種を持つ人間が普通の顔をして身近に潜んでいるかもしれない…という恐怖を思わせられる。

あと、最初はちょっと苦手だったアーリーの恋人・アデルが、実はとても健気で純粋で、心に傷を負った彼女にとって自分を守ってくれる存在はアーリーだけだったんだなと思うと悲しくて仕方なかった。
最後に流れてくるテープに録音されたアデルの無邪気な台詞が切なくて、残された二人も彼女だけは本当の「友達」だと思ってくれてたらいいな。

しかし一応まともな人間側として描かれてるブライアンも大概悪趣味で(殺人現場を訪れて、その場所で実際の事件を録音したテープ流すとか普通にヤバい)実はブライアン自身もアーリー同様に猟奇的な素質があるんじゃないのかと思ってしまったのが正直なところでもある…。
茜