わかめ昆布

雁のわかめ昆布のレビュー・感想・評価

(1953年製作の映画)
3.8
「毎日のご飯どんな気持ちで食べてるんです?私たちの血と涙の塊なんですよ」

大映の高峰秀子。目配せやちょっとした仕草での演技が大変上手く、動作のみで会話するかの様な学生とのシーンは秀逸。微細な表情の変化も素晴らしいが、パッと変わっていく心情表現も見事。

珍しく肌を露出するシーンがあり、余りの美しさに目が冴える。底深い彼女の魅力を感じた。

東野英治郎と飯田蝶子の人間臭い雰囲気!
妾と主人の腹の探り合い加減も絶妙。
お金に屈する人と、他の素敵な世界を求めてお金から解放されたい人との葛藤。

雁の枕詞は「遠つ人」。
お互いに違う世界に生き、決して深く交わらない、そしてこれからも…というのが切ない。

小粋に挟まれる文学的な美しいカット。
着物や傘等のデザインもモダンで御洒落。
主要人物の演技はそれぞれに優れていた。
わかめ昆布

わかめ昆布