わかめ昆布

のぼる小寺さんのわかめ昆布のレビュー・感想・評価

のぼる小寺さん(2020年製作の映画)
3.5
元モー娘。工藤遥ちゃんの映画初主演ということで、オンライン試写会にて鑑賞。

ボルダリング一筋過ぎて、ボルダリング以外は抜けまくりのヒロイン"小寺さん"

たしかに不思議感強めの人物像ではあるが、芯がかなり強くある子なので、そこでマンガ的ヒロインとして、結構バランス感覚良く描かれている。

そのため、彼女の真っ直ぐさと一本道を突き進む姿勢に、しっかりと周りが影響されていき…

「放課後」と「部活」のオンパレードの作品って、有りそうでなかった、意外と珍しい切り取り方かもしれない。

工藤遥ちゃんのボルダリングが凄かった!
4ヶ月特訓されたそうで、素晴らしい挑戦ですし、評価されるべきポイント。

さすが元アイドル!と感じたのは、子寺さんのさりげない表情の作り方に佇まい。可愛らしくて…
特にラスト辺りの顔つきにはときめいた。

登場人物は、なんとほぼ単独行動派揃い。
「学校」を舞台にした作品特有の、鑑賞者のコンプレックスを刺激したり過去を思い出させたりしがちな、トラブルや煩わしいことが起こらず。
終始一枚ベールを挟んだような…白くて甘酸っぱい空気に包まれている。

そんな独特の空気感タップリの平和な世界観だが、それぞれの夢や進路に向かって戦う高校生が眩しくて、
派手な演出はないけど、煌めきは確かにあって、
それを追いかけていたらあっという間にラストという感じ。

気張らずに観れて、心穏やかに。
恋愛も友情もベタベタしすぎない、ちょうど良い塩梅の極み。心地よい。

誰かに感情移入したり、強い共感性が反応したり、しにくいからこそ、眺めていられる、堂々と観客目線で安心して観れる、こんな邦画があっても面白い。


そして最後に…
未だにいろいろと心配な時期だからこそ、自宅で新作映画を試写できるのは、本当に贅沢で幸せなひとときでした。
わかめ昆布

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