ショートムービーだからこそ、"南北離散家族"問題を知るのに最適。恥ずかしながら詳しく知らなかったので、観る機会に恵まれて良かった。
城下町の様な古く美しい街に住んでいる主人公は、丁寧かつ花やおいしそ〜うなご飯に包まれた優しい空気感の中で、一人暮らしている。
待ち人の "ミヌさん" のために用意する、あたたかで湯気の立つ飯の美味しそうなこと!
結構ひとりだが、彼女のベールに包まれていて、悲壮感を全く感じない。
冷麺が、めちゃくちゃ美味しそうだった。
高橋しん先生の 「花と奥たん」の雰囲気まんまな世界感。
優しい生活の奥に隠された、切ない秘密。
秘密に気付いてから、それまで癒しだった音楽も追憶のような悲しみを帯びてくる。
時間が止まったままの"自分"と、現実の自分が交差する演出は、彼女の心を理解しやすかったが、力の限り訴えかけるシーンは、悲しすぎた。
ずっと時間が止まったままの人を増やしてしまった歴史…そしてその記憶がいつか解決せずに失われてしまう可能性の恐ろしさ…
本人を支え、犠牲になる家族もまた可哀想で、新たな問題が生まれ続けている。
それにしても、韓国女優さんの儚い独特の美しさは、本当に魅力的。
解決の見えない現実が眼下にはあるのに、最高潮に美しい景色のまま終わるから、逆に制作者による絶望の深さを感じたような。
事を知る入り口としては、入りやすい。