B5版

カティンの森のB5版のレビュー・感想・評価

カティンの森(2007年製作の映画)
3.0
ウクライナへの侵攻が世界を驚愕させた時、
"ロシアに降伏すれば命は助かるのでは?"と平和ボケここに極まれりな発言が日本で飛び出たことに閉口した思い出。
カティンの森事件を知る人からは決して出ない言葉だろうに。

ロシアの前進ソ連の行動はナチスに勝るとも劣らない残虐性があった。
ナチスがユダヤ人600万人を「処理」した時も、ソ連がポーランドを「破壊」した時も同じく血の通わないシステマチックな非人道的メカニズムのみが働いていた。

何も知らされぬ男の頭蓋には穴が開き、口をつぐんだ男は自壊した。
懸命にそして怖いもの知らずに体制へ位を唱えた人間はいかに無謀であったか、
そして高潔であったか。

哲学者のハンナ・アーレントは悪とはシステムを無批判に受け入れることであると言った。
流されるまま受け身のまま姿を変えていった祖国の罪は、一人一人の虐げられたポーランド人が背負うべきと監督は伝えたいのだろうか?
ノーブルだけど脆くもある、辛口な後味が残る作品。
B5版

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