140字プロレス鶴見辰吾ジラ

ヒックとドラゴンの140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

ヒックとドラゴン(2010年製作の映画)
4.7
相棒ってなんだ?
それは心が通じ合っていること
互いに信頼していること
互いの欠落を補い合えること

飛んでいるだけで涙が出た
互いに支え合うところで涙が止まらなかった
2人ならばどこまでも
2人ならば不可能はない

CGアニメにして
それを確信してしまった

かつて宮崎駿が空を制していた。
大空を制することで世界を制していた。
しかしCG技術という隕石衝突で宮崎駿の時代は破壊された。
その破壊の中で、再び空を制する者が生まれた。
ドラゴンである。
ドラゴンと少年である。

冒頭から目まぐるしくドラゴンの襲撃する世界に放り込まれる。ドラゴンはこの世界では害獣と呼ばれている。人類は生活を守るためドラゴンを殺し、生活を守る。そんな中、風変わりではみ出し者の少年が傷ついたドラゴンを保護し友情を育む。

真っ先に想起するのは「風の谷のナウシカ」に他ならない。宮崎駿の制した空をバトンを意図したか知らずかドラゴンと少年が和平への願いから紡ぎ出す物語が再び征服しようとする。

少年ははみ出し者で、ドラゴンも傷ついたていた。少年はドラゴンに歩み寄る。その歩み寄りが悉く丁寧で、真に心を通じ合わせるまでの過程を自身の敵意をひとつまたひとつ、善意をひとつまたひとつと重ねていった先に、額に手を合わせるシークエンスから納得をさせ、そして互いの気持ちが重なったときにグッと物語は凝縮され大空へそれは解放される。

2人が大空を鋭く、雄大に飛翔するシーンで涙が溢れる。

鋭く、力強く、雄大に広がる空を
制空権を制した瞬間がこの上ないほどエモーショナル。

はみ出し者が、今までのシステムに抗うのでなく”共存”に重きおき、工夫を凝らしドラゴンを飼いならし、批判の目をひっくり返していく様は爽快に他ならない。

互いに敵意を剥き出すことでなく
理解しあい、分かち合う心
それにより世界が変貌を遂げていく。

抗い難い力もあり
ジュブナイルとして乗り越えるモノもあり
そしてそれを最終決戦の巨大な試練により世界諸共成長させていくある種の神話性が素晴らしかった。

ラストシーン
少年が闘いを終えた後、ベットから起きて扉まで歩むシーン
ドラゴンと寄り添い真についの存在になった僅か数メートルの歩みのシーンの”相棒”としての欠落を補い合える存在となったその後に見る景色。

オープニングのナレーション
エンディングのナレーション
これが対になる粋な演出とともに神話の序章のような幕引きは素晴らしかった。


劇中で描かれるドラゴンは、あくまで動物。知的な動物ですね。しゃべったりはしないので、心を紡ぐのに覚悟がいるところも良かったです。身近な例だとポケモンでしょうか?この辺りのフィクションラインを知っておけば良いかと思います。バリエーション豊かでファニーなドラゴンの造形も良かったです。



また吹き替えの話題ですが、ヒロイン?役の寿美菜子さんが今後の吹き替え勢力において少女から成人女性にかけてのキャスティングに関して坂本真綾王政時代に切り込んでくれることに期待。