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リーインカーネーションのMOCOのレビュー・感想・評価

リーインカーネーション(1975年製作の映画)
4.0
「前世で近い関係だった霊魂は
現世でもめぐり会う。
その関係が愛だったら愛がつきまとう。
敵意だったら打ち勝たねばならぬ。
責務だったら果たさねばならない」


「リーインカネーション」とは、死者の魂が別のものとして再び生まれ変わること。キリスト教におけるイエスの再来が語源とされています。


「ピューリタンホテル」というネオンしか見えない暗闇の湖を全裸の男が泳いでいると、ボートに乗った女性が現れ、男は「マーシャ本気で言ったんじゃない、悪かった、酔っていたんだ。何を言ったか覚えていない。君を愛している」と言い、女は「わかっているわ、乗りなさい」と男をボートに誘い、ボートによじ登る男をオールで殴りつけ、男は湖底に沈んでいく。
 ピーター(マイケル・サラザン)は、毎夜その夢にうなされ、夕日の中の飾り窓、天に伸びる4本の柱、ボップアップライトの乗用車、助手席に乗る妻らしき女性(マーシャ)と複数の女、石橋、レンガの建物、銅像、複数の女性との肉体関係など全く見たことのない場所や女性の断片的な夢を見るようになります。

 ピーターは町のクラッシックカーショップで夢で見る車を見つけ、さらにテレビに流れたニューイングランドのカネチカット川の町の記録映画に夢の景色を見つけます。

 殺された男の生まれ変わりと信じるポールはニューイングランドへ向かい夢で見た町を発見します。35年前の湖で男性が殺されたクリスタル湖のグレイディ事件を知り、地元の新聞社の資料室で前世の自分は人が羨むスポーツマンで、銀行頭取の娘マーシャと結婚し娘が一人いたことを知ります(ただし女にだらしがない)。
 そして新聞社の資料閲覧者としてサインを求められ「ジェフ・リー・カーチス」と記入した自分に驚きます。

 娘アン・カーチスを見つけたピーターは偶然を装いアンに近づき自宅に招待され、夢で見るよりも老けたマーシャに出会います。

 グラスを指ではじく癖、テニスの掛け声、ピーターは徐々にジェフそっくりになり、アンの痴呆の祖母(ジェフの母)を訪ねると祖母にジェフと間違えられます。
 
 ずっとピーターの相談相手をしていた心霊学者はこの輪廻転生を発表したいとピーターに話すのですが、前世で娘だったアンを愛しはじめ肉体関係になったピーターはその事実をアンには知られたくないこと、マーシャの殺人を公表したくないことを理由に拒みます。

 実際に見た景色の夢を見なくなったピーターはクリスタル湖の夢だけは見続け、プールサイドでのうたた寝で「マーシャ本気で言ったんじゃない、・・・君を愛している」といううわごとをマーシャに聞かれます。  
 マーシャは「どうしてあなたはあの時の二人の会話を知っているの」とピーターに尋ねるとピーターは「僕はそこにいた」と答えます。
 動揺したマーシャは車で家を飛び出し、ピーターは湖の別荘に向かい、夢を消すため泳ぎはじめます。
 ずっと使用していない別荘に明かりを見たマーシャは別荘でジェフに無理やり犯された後「お前に飽きた、お前の臭いを落としに行く」と全裸で湖に飛び込んだジェフを思い出します。
 泳いでいるピーターの前に不意にボートが現れ乗っていたマーシャが銃を構えながら言います。
「なぜ向こうにいかなかったの
なぜ戻ってきたの・・・
あなたは戻ってきて
私たちの娘を犯したのよ
なぜ私にまたやらせるの」
そして・・・。

 ストーリーがしっかりしていて、見慣れない町の美しい建造物が効果的に使われているこの映画は、「輪廻転生」をテーマにした映画の中でも傑作映画なのですが、何故かDVD化されていない1975年のアメリカの映画です。

 映画の中で「(1975年時点で)世界に5台も現存しない」と紹介される1937年式コードのスポーツカーはボンネット先端に取り付けられた女神?か妖精?のエンブレムが風を切るかのように立っていて、手動のリトラクタブルヘッドライトを有する造形の美しい車です。
 愛知県の長久手にあるトヨタ博物館には自走不可ですがこのコード フロントドライブ モデル 812のが展示されていますが、残念なことに濃色ではなくベージュのため印象が違います(訪れたいのですが時間がなく先送り状態です)。

 私はビデオ版を所有していますが、YouTubeで画像の悪いこの映画を観ることができます。

「責務だったら果たさねばならない」・・・現世でも巡りあった二人は愛がつきまとう関係ではなかったのです。
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