しんしん

暗殺者の家のしんしんのレビュー・感想・評価

暗殺者の家(1934年製作の映画)
3.9
ヒッチコック初期傑作にして、彼が世界的に知名度を上げることになった決定的な作品。

後に1956年にジェームズスチュワート主演「知りすぎていた男」としてリメイクされることとなる。

前半のストーリーは1956年の「知りすぎていた男」と全く同じ。ホールでの暗殺未遂以降がリメイク版とは違うストーリー展開になっていく。それが邦題の「暗殺者の家」の所以。犯人が家に立て篭り、籠城銃撃戦が繰り広げられる。

ヒッチコックは犯人のキャラクター造形が非常に秀逸。ピーターローレが演じた額に傷のある犯人、残忍でサイコだけど人間味のある素晴らしい役だった。ピーターローレの味のある顔も相まっていい感じに仕上がってた。「レベッカ」の女中、「見知らぬ乗客」のアイツ、犯人造形が素晴らしい分サスペンスに質感が生まれるんだと思う。

1956年の「知りすぎていた男」と比べるとやはり演出面で劣ってしまうところはある。後半のストーリー展開もリメイク版の方がアクション性は少ない分、純サスペンスとして素晴らしい演出がなされていた。
まぁ、自分で自分の過去作をリメイクするっていうことはそれなりの勝算がないとやらないよね。

サスペンス史ならびに映画史として鑑賞するべき一作であるとは思います。