いの

穴のいののレビュー・感想・評価

(1960年製作の映画)
4.5
1947年にパリの刑務所で実際におきた事件がもとになっているとのこと。同室4人組+新参者1名。計5名での脱獄計画。とにかく無駄のない映画。ほれぼれする。まさにプロフェッショナル。脱獄に関して匠の技を持つロラン役の演者は、実際にこの脱獄事件の当事者らしい(それにもびっくり)。彼の仕事ぶりは文字通り仕事の“流儀”で、流れるような手さばきで完璧な仕事をする。手近なものを鍵に変えたり砂時計にしたり。即席のこぎりでの作業などの様子は手元のアップでじっくりみせてくれるのだけど、もういつまでもみていたいと思うほど、作業の反復が素晴らしい。弟子入りしたくなる(したくない)。夜間巡視にくる看守の目をごまかすための工夫もおもしろくて、あのアイディアは機会があったらチャレンジしてみたい。


同房の囚人たちの関係もエレガントで、囚人映画でよくあるような描写(粗野だったり暴れたり)がないのもトレビアン。この人たちホントに囚人? 差し入れもみんなで公平に分け合う姿はほほえましいほど。刑務所の地下や水路など、自分だったら迷子になってその時点でジエンドになっちゃうけど、もしも彼等と同房になったら、即席つるはしで必死に頑張る所存です。お任せあれ!



*地下を巡視していた看守が蜘蛛に餌(自分が持ってきた虫)をあげて、そのとき映る看守の超アップが怖かったです。ニヤって笑った
いの

いの